下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成3年 問7
【問 7】 不動産を目的とする担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。
2 不動産を目的とする担保物権の中には、被担保債権が将来のものであっても、存在するものがある。
3 不動産を目的とする担保物権の順位は、すべて登記の先後による。
4 不動産を目的とする担保物権は、被担保債権の全部が弁済されるまでは、目的物の全部の上にその効力を及ぼす。
<*民法295条/div>
<*民法295条/div>
【解答及び解説】
【問 7】 正解 3
1 正しい。不動産を目的とする担保物権の多くは、抵当権をはじめ登記が対抗要件になっているが、留置権のように他人の物を留置することによって登記なくして第三者に対抗できるものもある。
*民法295条
2 正しい。担保物権には、被担保債権なければ担保物権もないという附従性がある。しかし、この附従性も緩和されており、将来発生する債権であっても被担保債権とできる場合がある。抵当権においては、将来発生する債権を被担保債権とすることもできるし(判例)、根抵当権というのはもともと一定の範囲に属する債権であれば、将来発生するものも担保する。
*民法398条の2第1項
3 誤り。担保物権に限らず、不動産物権は原則として登記の先後による(不動産登記法4条1項)。しかし、不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権は、先順位の抵当権に先立って行使することができるなど、登記の先後によらない場合もある。
*民法339条
4 正しい。不動産を目的とする担保物権は、被担保債権の全部の弁済を受けるまでは、目的物の全部についてその権利を行使することができる。
*民法296条(留置権)、305条(先取特権)、350条(質権)、372条(抵当権)
【解法のテクニック】こういう法律上の制度を、抽象的というのか一般的に聞いてくる問題というのは、多くの宅建の受験生にとっては苦手になると思います。しかし、よく問題文を読んで下さい。だいたい法律上の制度というのは、ほとんどの場合、原則と例外というのがあります。まれに例外のない制度というものもあります。しかし、たいていは例外があります。それを前提に問題文を読んでみると、肢1と肢2というのは、「 … ものもある。」というように「例外がありますよね?」と聞いています。そこで、「正しいのかな?」と考えるわけです。肢3と肢4は、いずれも例外はないというような書き方をしていますが、肢3の方は「すべて」と断言しています。これで肢3があやしい、と気が付くわけです。このように知らない問題が出てもあわてず、対処して下さい。宅建試験は満点を取る必要はありません。知らない問題が出題されるのは当たり前と、開き直って下さい。合格点を取ればいいんです。そして、知らない問題が出ても、今の説明のように自分の知識と常識を使って一番答えだと思うものを選べばいいんです。知らない問題は、どのみち得点が期待できない問題です。時間をかけたからといって正解に導ける可能性は低い。ダメでもともとです。勘を研ぎ澄まして解答し、答えを出した後は、振り返らず次の自分の知っている問題の方に集中して下さい。