下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成3年 問3
【問 3】 AがBから代理権を与えられて、契約を締結し、又は締結しようとする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Aが未成年者である場合、Bは、親権者の同意がないことを理由として、Aが締結した契約を取り消すことができる。
2 AがCにだまされて契約を締結した場合においても、Bは、Cの詐欺を知っていたときは、その契約を取り消すことができない。
3 AがBからB所有地の売却の代理権を与えられている場合、Aは、Bの同意がなければ、自ら買主となることができない。
4 AがBからB所有建物の賃貸の代理権を与えられている場合、Aは、B及び賃借人人Dの同意があれば、Dの代理人にもなることができる。
【解答及び解説】
【問 3】 正解 1
1 誤り。代理人は、行為能力者であることを要しない。したがって、未成年者でも代理人になることができ、親権者の同意なく契約を締結しても、取り消すことはできない。
*民法102条
2 正しい。代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、「代理人」について決するものとする。しかし、特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。
*民法101条2項
3 正しい。同一の法律行為については、相手方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。したがって、自己契約ができる例外は、1.債務の履行と、2.本人の同意であるが、本肢は売却の代理権に基づいて売買を行う事例なので、1.は問題にならず、2.のみが例外となる。
*民法108条
4 正しい。同一の法律行為については、当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。したがって、B及びDの同意があれば、AはDの代理人にもなれる。
*民法108条
【解法のテクニック】本問の肢2は、正誤の判断がしにくい問題だと思います。本人が代理人の不知を主張することができなくなるのは、あくまで「代理人が本人の指図に従ってその行為をした」ときに限られます。このような事情を本肢の問題文から読み取ることは難しいように思いますが、肢1が明らかに「誤り」です。したがって、肢2に疑問は感じるけど、肢1を答えにするという柔軟さが必要です。