下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成2年 問45

【問 45】 区分所有建物(建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である建物をいう。)についての宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 当該建物の管理が委託されているときは、その委託されている管理の内容を説明すれば足り、受託者の氏名及び住所を説明する必要はない。

2 通常の管理費用の額については、区分所有者が月々負担する経常的経費を説明すれば足り、計画的修繕積立金等については、規約等に定めがなく、その案も定まっていないときは、その説明の必要はない。

3 共用部分に関する規約の定めについては、その定めがまだ案であるときは、その案を説明すれば足り、規約の定めを待つ必要はない。

4 建物の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めがあるときは、その規約の内容を説明すれば足り、使用者の氏名及び住所を説明する必要はない。

【解答及び解説】

【問 45】 正解 1

1 誤り。建物の管理が委託されているときの重要事項として説明する事項が逆になっている。すなわち、当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名及び住所は説明しなければならないが、管理の内容までは説明する必要はない。
*宅地建物取引業法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第8号

2 正しい。「当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額」は重要事項の説明対象である。そして、この「通常の管理費用の額」とは、区分所有者が月々負担する経常的経費をいい、修繕積立金等に充当される経費は含まれないものとする。修繕積立金は、別に「当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の「規約の定め(その案を含む。)があるとき」は、その内容及び既に積み立てられている額」が重要事項の説明対象となっている。したがって、修繕積立金については、規約の定めや案がない場合は、説明する必要はない。
*宅地建物取引業法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第6号・7号

3 正しい。共用部分に関する規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容を説明しなければならない。規約の案しかないときは、その案を説明すれば足りる。
*宅地建物取引業法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第2号

4 正しい。当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定め(その案を含む。)があるときは、その「内容」を説明しなければならない。これは専用使用権と呼ばれるもので、具体的には駐車場などが典型例である。これについては、使用者の氏名・住所まで説明する必要はない。
*宅地建物取引業法35条1項5号の2、同法施行規則16条の2第4号


【解法のポイント】この区分所有建物の場合の重要事項の説明は、ちょくちょく出題されるので注意しておいて下さい。この区分所有建物の重要事項の説明は、他の重要事項の説明事項とは異なる特徴があります。一般の重要事項の説明は、基本的にそのような定めがない場合は、「定めなし」と「説明」しなければなりません。しかし、区分所有建物の重要事項の説明の場合、定め(規約又はその案)がなければ説明しなくてもよいものがいくつかあります。このへんがややこしいので、勉強の際は注意しておいて下さい。