下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成2年 問29

【問 29】 平成24年中に土地又は建物を譲渡した場合の譲渡所得の課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 相続税を納付するために、相続により取得した土地を税務署長の許可を受けて物納した場合には、その物納価額を譲渡による収入金額として課税される。

2 保証債務を履行するために土地を譲渡した場合において、その履行に伴う求償権の一部を行使することができないこととなったときは、その行使することができないこととなった金額は、なかったものとされる。

3 離婚に伴う財産分与として自己が所有する土地・家屋を妻の名義に変更した場合には、その土地・家屋は、慰謝料の代わりに無償で妻に与えているので、譲渡所得の金額はないものとして、課税されない。

4 建物の所有期間が4年、土地の所有期間が6年である居住用財産を譲渡した場合には、居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除は、譲渡所得が最も多額な資産の方から順次控除する。

【解答及び解説】

【問 29】 正解 2

1 誤り。個人がその財産を税務署長の許可を受けて物納した場合には、譲渡所得の規定の適用については、当該財産の譲渡がなかったものとみなす。したがって、譲渡所得が課税されることはない。
*租税特別措置法40条の3

2 正しい。保証債務を履行するため資産の譲渡があった場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなったときは、その行使することができないこととなった金額は、所得の金額の計算上、なかったものとみなされる。
*所得税法64条2項

3 誤り。財産分与の請求による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。財産分与による資産の移転は、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡であり、贈与ではない。
*所得税法33条1項、所得税基本通達33-1の4

4 誤り。居住用財産の3,000万円特別控除は、短期譲渡所得の金額を先に控除し、控除できなかった場合は、長期譲渡所得の金額から控除する。譲渡所得が最も多額な資産の方から順次控除するのではない。本肢では建物の所有期間が4年なので、建物の譲渡所得から控除することになる。
*租税特別措置法35条1項1号・2号


【解法のポイント】本問の譲渡所得の問題としては、非常な難問で、過去に出題されたことのないような問題からの出題でした。