下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成2年 問28

【問 28】 Aは、甲県内(指定都市の区域外)に2,000㎡の土地を有し、当該土地に住宅を建築し、又は当該土地を売却しようとしている。この場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 当該土地が都市計画区域外の農地で、当該土地に住宅を建築するときは、Aは、農地法の規定に基づき甲県知事の許可を、また、都市計画法の規定に基づき甲県知事の許可を、それぞれ受けなければならない。

2 当該土地が市街化調整区域内の土地で、当該土地を乙市に売却するときは、Aは、公有地の拡大の推進に関する法律の規定に基づき、甲県知事に届出をしなければならないが、都市計画法の規定に基づき、甲県知事に届け出る必要はない。

3 当該土地が土地収用法による事業認定の告示において起業地とされている土地で、当該土地に住宅を建築するときは、Aは、同法の規定に基づき、甲県知事に届出をしなければならない。

4 当該土地が国定公園の特別保護地区内の土地で、当該土地をBに売却するときは、Aは、自然公園法の規定に基づき、甲県知事に届け出る必要はない。

【解答及び解説】

【問 28】 正解 4

1 誤り。Aは都市計画区域外の農地に住宅を建築しようとしているのであるから、農地法4条1項の転用にあたり、都道府県知事の許可が必要となる。ただ、都市計画区域外に住宅を建築することについては、特に都市計画法に規制はない。また、たとえ住宅建築のために開発行為を行う場合であっても、都市計画区域外であり、その規模が1ha以上ではないので、都道府県知事の許可を受ける必要はない。
*農地法4条1項、都市計画法29条1項

2 誤り。都市計画区域内の一定の土地を所有する者は、当該土地を有償で譲り渡そうとするときは、一定の事項を都道府県知事に届け出なければならないが、国、地方公共団体等に譲り渡されるものであるときは、届出は不要となる。なお、土地を譲渡するときに都道府県知事に届出が必要であるという規定は、都市計画法には存在しない。
*公有地の拡大の推進に関する法律4条1項・2項1号

3 誤り。土地収用法による事業の認定の告示があつた後においては、何人も、都道府県知事の「許可」を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならない。しがって、住宅を建築するには、都道府県知事への「届出」ではなく、「許可」が必要となる。
*土地収用法28条の3第1項

4 正しい。国定公園の特別保護地区内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、一定の行為をしてはならない。その許可を要する行為の中には、「工作物を新築し、改築し、又は増築すること、木竹を伐採すること」等が掲げられているが、土地の売却は掲げられていない。したがって、都道府県知事の許可は不要であり、届け出る必要もない。
*自然公園法20条3項


【解法のポイント】この問題は、分類的には「その他の法令上の制限」に該当するんでしょうが、ウルトラ複合問題です。通常単独の問題として出題される農地法、都市計画法まで含めた法令上の制限一般の問題です。農地法、都市計画法以外の規定も細かいことを聞いており、なかなか正解を出すのが難しい問題ではなかったかと思います。