下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成2年 問17

【問 17】 国土利用計画法による土地に関する権利の移転等の届出(以下この問において「届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 土地所有者Aの業務に関し、BがAの代理人として、国土利用計画法第23条の規定に違反して、土地の売買契約の締結について届出をしなかった場合、Bが6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがあるほか、Aも100万円以下の罰金に処せられることがある。

2 注視区域内における土地売買等の契約について、CとDが届出をし、勧告をしない旨の通知を受けたが、事情により契約を締結できなくなった後、その届出に係る土地について、同一の対価及び利用目的で、CがEと権利移転の契約を締結する場合、改めて届出を行う必要はない。

3 土地所有権移転の予約をした後、その予約完結権を行使して所有権を移転した場合、予約完結権を行使した旨の届出が必要である。

4 届出は、監視区域に所在する一定面積以上の土地について必要であり、監視区域外に所在する土地については、その必要はない。

【解答及び解説】

【問 17】 正解 1

1 正しい。法人の従業員や、人の代理人が、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は本人に対しても罰金刑を科する。これを両罰規定という。
*国土利用計画法50条

2 誤り。注視区域に所在する土地について土地売買等の契約を締結しようとする場合には、「当事者」は、一定の事項を、あらかじめ、都道府県知事に届け出なければならない。したがって、同一の対価及び利用目的であっても、CとEは改めて届出を行わなければならない。
*国土利用計画法27条の4第1項

3 誤り。土地売買等の「契約」を締結するときは、事前又は事後に届出が必要である。したがって、「契約」でないものについては届出は不要である。予約完結権は、一方的な意思表示で行うことができるので、契約ではなく、届出は不要である。
*国土利用計画法23条1項等

4 誤り。届出制は、監視区域以外でも、注視区域及び監視区域・注視区域以外に全国的に適用される制度であり、監視区域以外に所在する土地であっても一定面積以上であれば届出が必要である。
*国土利用計画法23条、27条の4


【解法のポイント】国土法は、平成2年は例外的に2問出題されたが、それ以外は毎年1問出題されている。平成2年はバブルの最後の年で、宅建の受験者数が最大になった年です。この年に、地価の高騰抑制という趣旨の国土法の届出制が2問出題されました。