下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成2年 問12
【問 12】 不動産の賃貸借に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 建物の賃貸借において、期間満了前に当該建物が第三者の放火により全部滅失したときは、当該賃貸借は終了する。
2 建物の賃貸借においては、その存続期間を、60年とすることができる。
3 建物の所有を目的とする土地の賃貸借において、当該建物が借地人の失火により滅失したときは、賃貸人は、解約の申入れをすることができる。
4 建物の所有を目的とする土地の賃貸借において、その存続期間の満了前に建物が滅失しても、当該賃貸借は終了しない。
【解答及び解説】
【解法のポイント】肢1と肢3・肢4はよく混乱するところですね。しかも、肢3の方は正解肢です。こういうところを比較して出題するあたりは、本試験らしい、いい問題だと思います。同じ建物の滅失でも肢1では、賃貸借が終了し、肢3と肢4では賃貸借は終了しません。その違いは、「建物」の賃貸借か、「土地」の賃貸借の違いです。肢1では、建物の賃貸借で、賃貸借の目的である建物のそのものが滅失しているので、賃貸借は終了します。ところが、肢3と肢4は、土地の賃貸借であり、賃貸借の目的である土地自体が滅失したわけではありません。したがって、賃貸借の目的である土地が存在する以上、土地の賃借権は存続させておいた上で、その上の建物の再築の問題が生じるだけです。
【問 12】 正解 3
1 正しい。本肢のように賃貸借の目的物が滅失したときは、賃貸借契約は終了する。
*民法616条の2
2 正しい。民法上の賃貸借においては、最長期間の定めがあり、50年を超えることはできないが(民法604条)、借地借家法により建物の賃貸借においては、最長期間の定めはなく、50年を超える存続期間を定めることができる。
*借地借家法29条2項
3 誤り。借地上の建物が失火により滅失しても、借地権は存続期間満了まで消滅しない。したがって、賃貸人から解約申入れをすることもできない。
4 正しい。肢3の解説参照。