下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成2年 問11

【問 11】 Aが死亡し、相続人として、妻Bと嫡出子C・D・Eがいる。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 Cが相続を放棄した場合、DとEの相続分は増えるが、Bの相続分については変わらない。

2 Aが遺産をCに遺贈していた場合、その遺贈は、B、D及びEの遺留分を侵害した部分について、効力を生じない。

3 Eの遺留分は被相続人Aの財産の1/12の額である。

4 Aの生前Dが遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていた場合においても、Dは、相続人となることができる。

【解答及び解説】

【問 11】 正解 2

1 正しい。子及び配偶者が相続人であるときは、子及び配偶者の相続分は、各2分の1となる。そして、子は、その相続分である2分の1を、さらに子の人数で均等に分ける。したがって、子の一人が相続を放棄すれば、他の子の相続分は増えるが、配偶者はもともとの相続分の2分の1のままであり、Bの相続分は変わらない。
*民法900条1号

2 誤り。遺留分を侵害する遺贈は、当然に無効となるのではなく、遺留分を侵害する遺贈も一応有効とした上で、遺留分権利者が、遺贈及び贈与による侵害額を請求した部分のみ無効となる。これは、遺留分を侵害する贈与又は遺贈が、法定相続人である場合でも同様である。したがって、「効力を生じない」とする本肢は誤り。
*民法1046条

3 正しい。遺留分は、「直系尊属のみが相続人」である場合「以外」は、被相続人の財産の2分の1である。そして、各人の遺留分は、その2分の1を法定相続分で分けることになる。したがって、Eの遺留分は、1/2(全体の遺留分)×1/2(子の法定相続分)×1/3(Eの法定相続分)=1/12となる。
*民法1028条2号

4 正しい。相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けていれば、効力を生ずるが、これはあくまで「遺留分」の放棄であり、「相続」の放棄ではないから、遺留分の放棄について家庭裁判所の許可を受けていたとしても、相続人となることができる。
*民法1049条1項


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