下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成2年 問3

【動画解説】法律 辻説法

【問 3】 AのBに対する貸金(返済の時期は定めていない。)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 AがBに対する貸金債権をCに譲渡した場合、Cは、その旨をBに確定日付のある証書で通知しなければ、第三者に対抗することができない。

2 Aの貸金債権の消滅時効は、Aの催告の有無にかかわらず、貸し付けたときから相当の期間を経過したときから起算される。

3 返済の場所を定めていない場合において、Aが住所を移転したときは、Bは、Aの新たな住所で返済しなければならない。

4 Bは、Aにいつでも返済することができるが、Aが返済を請求するには、相当の期間を定めて催告しなければならない。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 1

1 誤り。指名債権の譲渡は、「譲渡人」が債務者に確定日付のある証書によって通知をし、又は債務者が確定日付のある証書によって承諾をしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。債権の「譲受人」であるCから通知をしても債務者以外の第三者に対抗することはできない。
*民法467条2項

2 正しい。消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。そして、消費貸借において、当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。したがって、返還時期を定めない消費貸借においては、貸金債権の消滅時効は貸し付けたときから相当期間を経過したときから起算される。
*民法166条1項1号、591条1項

3 正しい。弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、金銭など特定物以外の弁済は債権者の「現在」の住所においてしなければならない。「現在」の住所で弁済するわけだから、住所を移転しているときは、移転先の住所で弁済しなければならない。
*民法484条1項

4 正しい。Aの返済の請求については、肢2の解説参照。なお、借主Bは、いつでも返還をすることができる。
*民法591条1項・2項


【解法のポイント】私の記憶では、消費貸借契約について細かいことが聞かれた初めての問題ではないかと思います(肢2・肢4)。不動産の取引においては、買主はローン、すなわち金銭消費貸借契約を締結することが多いので、消費貸借契約については、現在では勉強しておく必要があります。やはりそういうところは本試験でも聞かれるんですね。