下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成1年 問50

【問 50】 宅地建物取引業法第36条に規定する契約締結等の時期の制限に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、都市計画法第58条第1項の規定に基づく風致地区内における建築等の規制についての条例の規定による処分がある前に、売買契約を締結することはできない。

2 宅地建物取引業者は、都市計画法第65条第1項に基づく都市計画事業地内における建築等の制限についての許可がある前に、売買契約を締結することはできない。

3 宅地建物取引業者は、建築基準法第73条第1項に基づく建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準についての協定の認可がある前に、売買契約を締結することはできない。

4 宅地建物取引業者は、宅地造成及び特定盛土等規制法第8条第1項に基づく宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事についての許可がある前に、売買契約を締結することはできない。

【解答及び解説】

【問 50】 正解 3

1 正しい。宅地建物取引業者は、未完成物件について、当該工事に関し必要とされる開発許可、建築確認「その他法令に基づく許可等の処分」で政令で定めるものがあった後でなければ、売買又は交換契約を締結し、又はそれらの媒介・代理を行うことはできない。都市計画法第58条第1項の規定に基づく風致地区内における建築等の規制についての条例の規定による処分は、「その他法令に基づく許可等の処分」に該当する。
*宅地建物取引業法36条、同法施行令2条の5第1号

2 正しい。都市計画法第65条第1項に基づく都市計画事業地内における建築等の制限についての許可も、「その他法令に基づく許可等の処分」に該当する。
*宅地建物取引業法36条、同法施行令2条の5第1号

3 誤り。建築基準法第73条第1項に基づく建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する基準についての協定の認可は、「その他法令に基づく許可等の処分」に該当しない。
*宅地建物取引業法36条、同法施行令2条の5参照

4 正しい。宅地造成及び特定盛土等規制法第8条第1項に基づく宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事についての許可は、「その他法令に基づく許可等の処分」に該当する。
*宅地建物取引業法36条、同法施行令2条の5第16号


【解法のテクニック】本問は、出題当時の受験生にとっては非常に困った問題ではなかったかと思います。多くの受験生は、「開発許可」や「建築確認」の前には契約を締結できない、と覚えていたのではないかと思います。その他にどのような許可や確認が必要であるかは、宅地建物取引業法施行令に列挙されているわけですが、これをいちいち覚えておくことは不可能です。それでは、この部分は受験生の立場としてどのように対応すればよいのでしょうか? まず、本試験では「開発許可」「建築確認」が具体例として出題されることが多いので、これはまず典型例として覚える。それ以外は、どんな法律に基づこうが、「許可」「確認」の類は必要なんだと覚えておいて下さい。宅地建物取引業法施行令を見れば、その他に「承認」「条例の規定による処分」というのも多いです。過去問で、この契約締結前に必要な処分に「含まれない」もの(すなわちその処分がなくても契約を締結できる)として、公有水面埋立法に基づく埋立の許可、本問の建築協定の認可、国土利用計画法の届出、というのが出題されていますので、これは注意して下さい。「建築協定の認可」と「国土利用計画法の届出」は、「許可」、「確認」、「承認」、「条例の規定による処分」のいずれにも当たらないと覚えておいても結構ですが、公有水面埋立法に基づく埋立の許可は「許可」という言葉が含まれているので、丸暗記しかないですね。本問を見ると、肢1「条例の規定による処分」、肢2・肢4「許可」となっています。ややこしくなったので、最後にまとめておきます。

★ まとめ ~ 契約締結時期の制限
未完成物件について、開発許可・建築確認等の処分があった後でなければ、自ら売買、売買・交換の代理・媒介はできない。
1.「未完成物件」の規定である。
2.開発許可・建築確認等の「許可」「確認」「承認」「条例の規定による処分」があった後である。
 ×公有水面埋立法に基づく埋立の許可
 ×建築協定の認可
 ×国土利用計画法の届出
 注)×はこれらの処分は不要(これらの処分なく契約できる)の意味
3.「貸借」は含まれない。つまりこれらの処分なく契約できる。