下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
宅建 過去問解説 平成1年 問5
【問 5】 根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 根抵当権者は、元本の確定前において、同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その順位を譲渡することができる。
2 根抵当権者は、元本の確定前において、後順位の抵当権者の承諾を得ることなく、根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができる。
3 根抵当権者は、元本の確定前において、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部を譲渡することができる。
4 根抵当権者は、元本の確定後においても、利害関係を有する者の承諾を得て、根抵当権の極度額の変更をすることができる。
【解答及び解説】
【問 5】 正解 1
1 誤り。元本の確定前においては、根抵当権者は、転抵当を除く根抵当権の処分をすることができない。したがって、元本確定前の根抵当権の順位の譲渡はできない。
*民法398条の11
2 正しい。元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。このとき、後順位抵当権者の承諾を得る必要はない。
*民法398条の4
3 正しい。元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡(譲渡人が譲受人と根抵当権を共有するため、これを分割しないで譲り渡すこと。)をすることができる。
*民法398条の13
4 正しい。根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。逆にいうと、利害関係を有する者の承諾を得れば、極度額の変更をすることができる。そして、利害関係を有する者が承諾しているのだから、この極度額の変更は、元本確定後でもできる。
*民法398条の5
【解法のポイント】肢4についてですが、基本的に根抵当権の変更は元本確定前に行う必要があります。しかし、極度額の変更については、利害関係人の承諾が必要なため、利害関係人が承諾するならば元本確定後でも行うことができます。