下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和5年 問50

【動画解説】法律 辻説法

【問 50】 マンション管理業者が行うマンション管理適正化法第72条の規定に基づく重要事項の説明等に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 管理業務主任者は、重要事項の説明を行うに当たり、説明の相手方から要求があった場合は、説明の相手方に対し管理業務主任者証を提示しなければならない。

イ マンション管理業者は、管理受託契約を更新する場合において、従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とする場合、あらかじめ、重要事項の説明会を開催する必要はない。

ウ マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との契約を更新しようとするとき、当該管理組合の認定管理者等から重要事項について説明を要しない旨の意思の表明があったときは、当該認定管理者等に対して重要事項を記載した書面の交付を行えばよい。

エ マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約に係る説明会の日の5日前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 50】 正解 3

ア 誤り。管理業務主任者は、重要事項の説明をするときは、説明の相手方に対し、管理業務主任者証を提示しなければならない。これは、説明の相手方からの要求の有無を問わない。
*マンション管理適正化法72条4項

イ 正しい。マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとする場合において、当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない。そして、この「同一の条件」というのは、「従前の管理受託契約に比して管理事務の内容及び実施方法の範囲を拡大し、管理事務に要する費用の額を同一とし又は減額しようとする場合」を含む(通達)。この場合、説明会を開催する必要はない。
*マンション管理適正化法72条2項・3項

ウ 誤り。マンション管理業者は、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとするときは、あらかじめ、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等全員に対し、重要事項を記載した書面を交付しなければならない(法72条2項)。これは、当該マンションに管理者等が置かれているかどうかを問わない。そして、従前の管理受託契約と同一の条件で管理組合との管理受託契約を更新しようとする場合において当該管理組合に管理者等が置かれているときは、マンション管理業者は、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、重要事項について、これを記載した書面を交付して説明をさせなければならない(法72条3項本文)。つまり、管理者等がいる場合は、第2項により区分所有者全員に対する書面の交付に「加えて」(区分所有者全員に対する説明は不要)、管理者等に対して書面の交付+説明が必要としている。ただし、当該説明は、認定管理者等から重要事項について説明を要しない旨の意思の表明があったときは、マンション管理業者による当該認定管理者等に対する重要事項を記載した書面の交付をもって、これに代えることができる(法72条3項但書)。つまり、管理者等に対しては、書面の交付+説明が必要であったが、「説明」の部分は省略できるということになる。以上より、同一条件の更新で、管理者等がおり、説明不要の意思表明があった場合は、区分所有者全員に対する書面の交付と管理者等に対する書面の交付が必要となる。したがって、「認定管理者等に対して重要事項を記載した書面の交付を行えばよい」だけではなく、それに加えて区分所有者全員に対する書面の交付が必要である。
*マンション管理適正化法72条2項・3項

エ 誤り。マンション管理業者は、管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結しようとするときは、あらかじめ、説明会を開催しなければならないが、マンション管理業者は、当該説明会の日の「1週間」前までに、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等及び当該管理組合の管理者等の全員に対し、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を交付しなければならない。
*マンション管理適正化法72条1項

以上より、誤っているものは、ア、ウ、エの3つであり、肢3が正解となる。


【解法のポイント】肢ウの解説が長くなっていますが、この問題は、多くの受験機関が正解は肢2としていましたが、合格発表時に肢3が正解と公表されました。その原因は、間違いなく肢ウだと思いますので、丁寧に解説しました。肢ウを「誤り」とすることについては、いろいろと議論のあるところでしょうが、公表された以上、仕方がありません。詳しく知りたい方は、このページの最初にある「【動画解説】法律 辻説法」のリンクをクリックして下さい。