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マンション管理士 過去問解説 令和5年 問35

【問 35】 甲マンション管理組合の令和4年度決算(令和4年4月1日~令和5年3月31日)に当たり、令和5年3月31日現在の会計帳簿の現金預金の金額と銀行の預金残高証明書の金額に2万円の差異があった。この差異原因の説明に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとする。

1 令和5年4月分の管理費2万円が令和5年3月に銀行に入金されていたが、令和5年3月の仕訳で(貸方)管理費収入ではなく前受金で会計処理をしていたため、会計帳簿の現金預金の金額が2万円少ない。

2 令和5年3月分のエレベーター保守料2万円を令和5年3月の仕訳で(貸方)未払金で会計処理していたが、3月分の2万円は銀行から自動引き落としされていたため、会計帳簿の現金預金の金額が2万円少ない。

3 令和4年度分と令和5年度分の損害保険料4万円(年間2万円)を令和5年3月に支払ったが、令和5年3月の仕訳で令和5年度分の2万円は(借方)前払金として会計処理したため、会計帳簿の現金預金の金額が2万円少ない。

4 令和5年3月分の携帯電話基地局設置料収入2万円を令和5年3月の仕訳で(借方)未収金で会計処理していたが、令和5年3月末に銀行に入金されていたことが判明したため、会計帳簿の現金預金の金額が2万円少ない。

【解答及び解説】

【問 35】 正解 4

1 不適切。令和5年3月時点での仕訳は「現金預金 20,000/前受金 20,000」としているが、これは4月分の管理費が3月に入金されていたものであり、正しい会計処理である。したがって、現金預金が会計帳簿に計上されているので、会計帳簿の現金預金の金額と銀行の預金残高証明書の金額は「同じ」はずである。

2 不適切。エレベーター保守料は、当初「エレベーター保守料 20,000/未払金 20,000」と会計処理されていたので、会計帳簿上、現金預金は減っていないが、実際は銀行から自動引き落としされていたので、現実の現金預金は減っている。したがって、会計帳簿の現金預金の金額は2万円「多い」ことになる。

3 不適切。損害保険料は、令和5年度分については、令和5年3月時点では前払金となるので、「前払金 20,000/現金預金 20,000」というのは、正しい会計処理である。したがって、現金預金が会計帳簿に計上されているので、会計帳簿の現金預金の金額と銀行の預金残高証明書の金額は「同じ」はずである。

4 適切。携帯電話基地局設置料は、「未収金 20,000/携帯電話基地局設置料 20,000」と会計処理されているので、現金預金は増えていないことになっている。しかし、現実には当該設置料は、令和5年3月末に銀行に入金されていたので、会計帳簿の現金預金の金額は、銀行の預金残高証明書の金額より2万円「少ない」ことになる。


【解法のポイント】この問題は、落ち着いて考えれば、分かると思いますので、しっかり問題文の流れを追っていって下さい。