下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和5年 問34

【問 34】 甲マンション管理組合の令和4年度決算(令和4年4月1日~令和5年3月31日)に関して、会計担当理事が行った次の仕訳のうち、適切でないものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとする。

1 令和4年7月に修繕工事が完了し、20万円を支払った。なお、令和4年2月に着手金5万円を支払っている。


2 令和5年3月にA組合員から、令和4年3月分から令和5年5月分までの管理費30万円(月額2万円)が入金された。


3 令和3年度の貸借対照表に計上されていた管理費の未収金20万円のうち、17万円が令和4年度に入金された。3万円はまだ入金されていない。


4 令和5年3月末の帳簿上の銀行預金残高より銀行発行の預金残高証明書の金額が5万円少なかったため調査したところ、支払った損害保険料5万円の処理が計上漏れとなっていたため、必要な仕訳を行った。


【解答及び解説】

【問 34】 正解 3

1 適切。令和4年2月に着手金5万円を支払っているが、その着手金は前払金(資産)ということになるので、その時点の仕訳は「前払金 50,000/現金預金 50,000」となる。その後、7月には修繕工事が完了しているので、前払金は反対仕訳を行い修繕費として計上すると、「修繕費 50,000/前払金 50,000」となる。さらに20万円を支払っているので、「修繕費 200,000/現金預金 200,000」となる。以上をまとめると、設問のようになり、本肢は適切である。

2 適切。令和4年3月分の管理費は、令和3年度の決算で未収金として計上されているはずなので、その時点での仕訳は、「未収金 20,000/管理費収入 20,000」となる。そして、令和5年3月にその管理費が入金されれば、未収金は反対仕訳を行い、「現金預金 20,000/未収金 20,000」となる。令和4年4月~令和5年3月までの管理費の入金は、当該年度の管理費であるから、「現金預金 240,000/管理費収入 240,000」となる。そして、令和5年4月及び5月分の管理費の入金は、前受金という負債になるので、「現金預金 40,000/前受金 40,000」となる。以上をまとめると、設問のようになり、本肢は適切である。

3 不適切。令和3年度の管理費の未収金20万円は、その時点では「未収金 200,000/管理費収入 200,000」となる。そして、そのうちの17万円が令和4年度に入金された時点で「現金預金 170,000/未収金 170,000」となる。そして、3万円分は、依然として入金されていないので、特に対応する必要はなく、最終的には「現金預金 170,000/未収金 170,000」だけの仕訳となり、本肢は適切でない。

4 適切。損害保険料5万円は計上漏れなので、普通に保険料として新たに仕訳すればよく、「保険料 50,000/現金預金 50,000」となり、本肢は適切である。


【解法のポイント】肢2について、厳密な発生主義をとると、未払の管理費は、月ごとに未収金として計上しなければならないと思いますが、そう考えると、答えが2つになってしまいます。したがって、大きく年次で考えて解説しています。