下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和5年 問30

【問 30】 管理組合が、集会所における集会とWEB会議システムを併用して総会を行おうとする場合の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 WEB会議システムにより出席する組合員の議決権行使の取扱いを、あらかじめ管理規約に定めておく必要がある。

2 理事長は、前会計年度における管理組合の業務の執行に関し報告をして各組合員からの質疑への応答等に適切に対応する必要があることから、集会所における集会に出席しなければならない。

3 いずれの方法によっても総会に出席できない組合員は、その配偶者が集会所における集会に出席できる場合であっても、WEB会議システムにより出席を予定している他の組合員を代理人として議決権を行使することができる。

4 理事長は、WEB会議システムにより出席することを予定している組合員に個別のID及びパスワードを送付する必要があるため、緊急を要する場合であっても、少なくとも会議を開く日の2週間前までに招集通知を発しなければならない。

【解答及び解説】

【問 30】 正解 3

1 不適切。WEB会議システム等を用いて総会に出席している組合員が議決権を行使する場合の取扱いは、WEB会議システム等を用いずに総会に出席している組合員が議決権を行使する場合と同様であり、規約の定めや集会の決議は不要である。
*標準管理規約46条関係コメント⑧

2 不適切。理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない(標準管理規約38条3項)。これについて、WEB会議システム等を用いて開催する通常総会において、理事長が「当該システム等を用いて出席し報告を行うことも可能」であるが、WEB会議システム等を用いない場合と同様に、各組合員からの質疑への応答等について適切に対応する必要があることに留意すべきである。したがって、WEB会議システムを用いる場合には、理事長は、WEB会議システム等を用い出席すればよく、集会所における集会に出席する必要はない。ただ、質疑への応答等について適切に対応することに留意すればよい。
*標準管理規約38条関係コメント②

3 適切。WEB会議システム等を用いて総会に出席している組合員が議決権を行使する場合の取扱いは、WEB会議システム等を用いずに総会に出席している組合員が議決権を行使する場合と同様である。したがって、通常の総会と同様、組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合、他の組合員を代理人とすることができる(標準管理規約46条5項3号)。
*標準管理規約46条関係コメント⑧

4 不適切。WEB会議システム等を用いて総会に出席している組合員が議決権を行使する場合の取扱いは、WEB会議システム等を用いずに総会に出席している組合員が議決権を行使する場合と同様である。したがって、緊急を要する場合には、理事長は、理事会の承認を得て、5日間を下回らない範囲において、総会の招集通知の期間を短縮することができる(標準管理規約43条9項)。
*標準管理規約46条関係コメント⑧


【解法のポイント】本問は、標準管理規約46条関係コメント⑧が一つの大きなテーマとなっています。WEB会議システムでは、特有の問題が生じますが、それ以外の問題は、通常の総会と同じという形で整理しておいて下さい。この観点からの出題は今後もありそうです。