下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和5年 問25

【問 25】 マンションの修繕や改良工事に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 区分所有者は、専有部分の排水管(枝管)の取替え工事を行おうとするときに、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出して書面による承認を得た場合には、承認の範囲内で、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。

2 台風により窓ガラスが割れたため専有部分に雨が吹き込んでいる場合であっても、当該専有部分の区分所有者は、事前に理事長に申請して書面による承認を受けたうえで、窓ガラスの張替え工事を実施する必要がある。

3 専有部分に設置されている窓ガラスは、当該専有部分の区分所有者が専用使用権を有しているため、経年劣化した窓ガラスの交換工事は、当該区分所有者の負担において行うことになり、管理組合の負担において行うことはない。

4 区分所有者が、断熱性向上のために窓枠と窓ガラスの交換工事を行う場合、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受ければ、工事を実施することができ、その費用については、管理組合に対して請求することができる。

【解答及び解説】

【問 25】 正解 1

1 適切。区分所有者は、その専有部分について、修繕等を行おうとするときは、あらかじめ、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出して、書面による承認を受けなければならない。そして、この承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
*標準管理規約17条4項

2 不適切。区分所有者は、専有部分の使用に支障が生じている場合に、当該専有部分を所有する区分所有者が行う保存行為の実施が、緊急を要するものであるときは、敷地及び共用部分等の保存行為を行うことができる。この具体例としては、台風等で住戸の窓ガラスが割れた場合に、専有部分への雨の吹き込みを防ぐため、割れたものと同様の仕様の窓ガラスに張り替えるというようなケースが該当する。
*標準管理規約21条、コメント⑧

3 不適切。バルコニー等の保存行為のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。しかし、バルコニー等の経年劣化への対応については、管理組合がその責任と負担において、計画修繕として行うものである。
*標準管理規約21条関係コメント⑤

4 不適切。共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。原則として、区分所有者が行うことはできない。
*標準管理規約22条1項


【解法のポイント】標準管理規約の第21条(敷地及び共用部分等の管理)と第22条(窓ガラス等の改良)のあたりは、しっかりと頭の中で整理しておいて下さい。