下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和5年 問16

【動画解説】法律 辻説法

【問 16】 Aは、甲マンションの202号室を所有して居住しているが外国出張で不在にしており、Bは、その隣室である203号室を所有して居住しており在室していた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、各記述におけるBの行為は、Aの意思や利益に明らかに反しないことを前提とする。

1 台風による強風で飛来物が衝突し202号室の窓ガラスが割れた場合には、Bは、Aから依頼を受けていなくても、割れた窓ガラスを修理することができるが、その修理作業は、最もAの利益に適合する方法によって行わなければならない。

2 台風による強風で飛来物が衝突し202号室の窓ガラスが割れた場合には、Bは、Aから依頼を受けていなくても、割れた窓ガラスを修理することができるが、その修理費用は、Bが負担しなければならない。

3 台風による強風で飛来物が衝突し202号室の窓ガラスが割れた場合には、Bは、Aから依頼を受けていなくても、割れた窓ガラスを修理することができるが、そのことをAが知らない場合には遅滞なくAに通知しなければならない。

4 202号室の室内で火災が発生していたため、Bがやむを得ずベランダから進入し、202号室の窓ガラスを割って室内に入り消火作業をした場合には、BはAに窓ガラスの修理費用を支払う必要はない。

【解答及び解説】

【問 16】 正解 2

1 正しい。義務なく他人のために事務の管理を始めた者(管理者)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(事務管理)をしなければならない。
*民法697条1項

2 誤り。義務なく他人のために事務の管理を始めた管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
*民法702条1項

3 正しい。義務なく他人のために事務の管理を始めた管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。
*民法699条

4 正しい。義務なく他人のために事務の管理を始めた管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
*民法698条


【解法のポイント】事務管理というめったに出題されない範囲からの問題でしたが、意外に常識的に判断できたのではないかと思います。