下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和5年 問7

【動画解説】法律 辻説法

【問 7】 甲マンションにおいて、区分所有者Aが所有する101号室をBに賃貸している場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び借地借家法(平成3年法律第90号)の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。ただし、甲マンションの規約においては、専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならないとされている他には、別段の定めはないものとする。

ア Aは賃貸業を営む事業者で、101号室には居住せずに、Bに同室を居住用として賃貸して賃料収入を得る営業行為を行っていたとしても、Aの行為は、甲マンションの用途違反には該当しない。

イ 甲マンションの管理組合で建替え決議がなされたため、AB間の賃貸借契約が期間満了するに際して、AがBに対して更新を拒絶した場合、Bは建替え決議遵守義務があるので、借地借家法による正当事由の有無を判断することなくAB間の賃貸借は終了する。

ウ AB間の賃貸借契約に基づいて管理費等の支払義務はBにある旨を、あらかじめAから甲マンションの管理組合に届け出てBの銀行口座から自動的に引き落とされていた場合であっても、甲マンションの管理組合は、Aに対して滞納されている管理費等の請求をすることができる。

エ 甲マンション管理組合の集会を開催する場合、会議の目的たる事項についてBが利害関係を有しない場合であっても、Bのために、甲マンションの管理組合は、甲マンションの見やすい場所に、その集会の招集通知を掲示しなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 7】 正解 2

ア 正しい。Aは賃貸業を営んでいるが、101号室は「居住用」として賃貸しているので、甲マンションの用途違反には該当しない。

イ 誤り。占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の「使用方法」につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。建替え決議というのは、「使用方法」に関する決議ではないので、Bは建替え決議遵守義務があるとはいえない。
*区分所有法46条2項

ウ 正しい。管理費の支払義務は、あくまで区分所有者にあるので、問題文のような事情があったとしても、管理組合は、Aに対して滞納されている管理費等の請求をすることができる。
*区分所有法19条

エ 誤り。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき「利害関係を有する」場合には、集会に出席して意見を述べることができる。このような利害関係を有する占有者がいる場合には、集会を招集する者は、集会の招集通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。利害関係を有しない占有者のために、このような掲示は不要である。
*区分所有法44条2項

以上より、誤っているものは、イとエの二つであり、正解は肢2となる。


【解法のポイント】この問題は、問題文が完全な具体例の形ですので、難しそうですが、問われている内容自体は基本的なものだったと思います。