下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和5年 問2

【動画解説】法律 辻説法

【問 2】 管理組合、団地管理組合及び管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29年法律第89号)の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。ただし、規約に別段の定めはないものとする。

ア 法定共用部分を専有部分とする場合には、これについて、その共有者全員の同意が必要である。

イ 管理組合及び団地管理組合においては、その職務に関し、管理者が区分所有者を代理し、管理組合法人においては、その事務に関し、代表権のある理事が共同して区分所有者を代理する。

ウ 管理組合及び団地管理組合の管理者を共用部分の管理所有者とする規約を定めることができるが、管理組合法人の理事を共用部分の管理所有者とする規約を定めることはできない。

エ 共同利益背反行為に該当する行為により当該義務違反者に対して区分所有権の競売請求に係る訴訟を提起するため、管理組合及び団地管理組合の管理者、並びに管理組合法人の代表権のある理事を訴訟担当者として選任することは、それぞれの集会で決議することができる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 2】 正解 3

ア 正しい。法定共用部分を専有部分にするのは、共用部分の廃止ということになり、共有者全員の同意が必要となる。
*民法251条1項

イ 誤り。管理組合及び団地管理組合においては、その職務に関し、管理者が区分所有者を代理するという点は正しい。しかし、管理組合法人においては、その事務に関し、「管理組合法人」が区分所有者を代理する。
*区分所有法26条2項、66条、47条6項

ウ 誤り。管理組合においては、管理者を共用部分の管理所有者とする規約を定めることができる(法27条1項)。しかし、団地管理組合においては、管理所有の規定が準用されておらず、管理者を共用部分の管理所有者とする規約を定めることはできない。なお、管理組合法人の理事を共用部分の管理所有者とする規約を定めることはできないという点は正しい。
*区分所有法66条

エ 誤り。区分所有権の競売の請求については、「他の区分所有者の全員」又は「管理組合法人」(理事ではない)は、集会の決議に基づき、訴えをもって、当該請求をすることができる。そして、管理組合については、「管理者」又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、区分所有者の全員のために訴訟を提起することができる。しかし、団地管理組合については、義務違反者に対する措置の規定が準用されておらず、各棟で義務違反者に対する措置を行うことになるので、団地管理組合の管理者が訴訟担当者となることはできない。また、管理組合法人の代表権のある理事を訴訟担当者として選任することもできない。
*区分所有法59条1項・2項

以上より、誤っているものは、イ、ウ、エの3つであり、正解は肢3となる。


【解法のポイント】この問題は、「個数問題」であるということで、なかなか難しかったのではないかと思います。「管理組合、団地管理組合及び管理組合法人」の3つが比較されており、かつ、三者に微妙に異なる部分がある中で、正確に○×が付けられないと正解できません。しかし、一つ一つの知識は、難しいとはいえ、過去問でも出題されているので、答えられる必要があります。なかなか手強い問題で、みなさんの勉強の成果が問われているような問題です。