下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和4年 問26

【問 26】 盗難被害が発生したマンションの管理組合における今後の防犯対策に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

1 マンションやその周辺における防災・防犯活動のうち、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされるもので、建物並びにその敷地及び附属施設の管理の範囲内で行われる活動については、管理組合で実施することができる。

2 1階部分の住戸の区分所有者から、住戸の窓や扉等の開口部につき防犯機能を強化するための改良工事を、当該区分所有者の責任と負担において実施する旨の申出があった場合において、管理組合が当該工事を速やかに実施できないときは、理事長は、理事会の決議を経て当該工事の実施の承認をすることができる。

3 共用部分に防犯カメラを設置する工事や敷地内に防犯灯を設置する工事は、総会の普通決議により実施可能である。

4 現在空室となっている住戸に不審者が出入りをしているとの通報があった場合には、理事長は、当該住戸の区分所有者に対し請求をすることなく、直ちに当該住戸に立ち入り、室内を確認することができる。

【解答及び解説】

【問 26】 正解 4

1 適切。マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、「防災・防犯活動」、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第3条に定める管理組合の目的である「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能である。
*標準管理規約27条関係コメント②

2 適切。共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについて、管理組合が速やかに実施できない場合には、区分所有者は、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる。
*標準管理規約22条2項

3 適切。防犯化工事に関し、防犯カメラ、防犯灯の設置工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
*標準管理規約47条関係コメント⑥ウ)

4 不適切。理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に立ち入らないと共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、専有部分又は専用使用部分に自ら立ち入り、又は委任した者に立ち入らせることができる。しかし、「空室となっている住戸に不審者が出入りをしている」というだけでは、「災害、事故等」とはいえず、請求なく住戸に立ち入ることはできないものと考えられる。
*標準管理規約23条4項参照


【解法のポイント】肢4は、標準管理規約の条文通りではなく、それなりに「判断」が要求される問題だったと思いますが、条文にある肢1~肢3までがしっかりできれば、消去法でも正解を導けます。