下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和4年 問13

【動画解説】法律 辻説法

【問 13】 Aは、Bとの間で、甲マンションの1室である501号室をBに売却する旨の売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aが501号室を退去した後に、居住するための権利を有しないCが同室に居住している場合、AからBへの501号室の区分所有権の移転登記が経由されていないときは、Bは、Cに対して、同室の明渡しを請求することができない。

2 AからBへの501号室の区分所有権の移転登記が経由されない間に、AがCに同室を売却する旨の売買契約を締結し、Cに同室が引き渡された場合において、AからB及びCのいずれに対しても同室の区分所有権の移転登記を経由していないときは、Bは、Cに対して同室を明け渡すように請求することができない。

3 AからBに501号室の区分所有権の移転登記を経由した後に、AがBの詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消したが、その後にBがCに同室を売却する旨の売買契約を締結して、区分所有権の移転登記をBからCに経由し、Cが居住しているときは、Aは、Cに対して、同室の明渡しを求めることができない。

4 AからBに501号室の区分所有権の移転登記が経由された後に、AがBの代金未払いを理由にAB間の契約を解除したが、その解除の前にBがCに同室を売却する旨の売買契約を締結してCが居住している場合、区分所有権の移転登記がBからCに経由されていないときは、Aは、Cに対して、同室の明渡しを求めることができる。

【解答及び解説】

【問 13】 正解 1

1 誤り。不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。そして、登記がなければ対抗できない第三者は、登記が欠けていることについて「正当な利益」を有する者である必要があるので、Bは、不法占拠者であるCに対して登記なく自己の所有権を主張でき、明渡しを請求することができる。
*民法177条

2 正しい。二重譲渡において、譲受人の双方が登記を備えていない場合は、双方とも所有権を主張することができない。したがって、BはCに対して明渡し請求をすることはできない。
*民法177条

3 正しい。詐欺による意思表示をした者と、詐欺による意思表示の取消後の第三者の関係は、二重譲渡と同様の関係にあると考えられるので、詐欺による意思表示をした者は、登記を備えた取消し後の第三者に対して所有権を主張することはできない。
*民法177条

4 正しい。契約を解除した者と、解除前の第三者の関係について、第三者が保護されるには、善意・悪意を問わないが、登記を備えている必要がある。したがって、Aは、登記を備えていないCに対して明渡しを請求することができる。
*民法545条1項


【解法のポイント】この問題は、非常に基本的なものだと思いますが、肢2には注意して下さい。