下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和3年 問8

【動画解説】法律 辻説法

【問 8】 次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、規約で別段の定めをすることができないものはどれか。

1 各区分所有者による共用部分の保存行為について、管理者を通じて行うこと。

2 共用部分の変更についての決議要件を、その変更の内容が軽微なものか重大なものかにかかわらず、区分所有者及び議決権の各過半数に減ずること。

3 各住戸の面積等の差が軽微な場合において、共用部分の負担と収益の配分を、住戸数を基準に按分すること。

4 一部共用部分について、これを共用すべき区分所有者の共有とするのではなく、区分所有者全員の共有とすること。

【解答及び解説】

【問 8】 正解 2

1 規約で別段の定めをすることができる。共用部分の保存行為は、各共有者がすることができる。これについて、規約で別段の定めをすることができるので、規約で保存行為について、管理者を通じて行うこととすることもできる。
*区分所有法18条1項

2 規約で別段の定めをすることができない。共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この「区分所有者の定数」は、規約でその過半数まで減ずることができる。議決権を過半数とすることはできない。したがって、共用部分の変更についての決議要件を、規約で、その変更の内容が軽微なものか重大なものかにかかわらず、区分所有者及び議決権の各過半数に減ずることとすることはできない。
*区分所有法17条1項

3 規約で別段の定めをすることができる。各共有者は、「規約に別段の定めがない限り」その持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。したがって、規約で共用部分の負担と収益の配分を、住戸数を基準に按分することとすることもできる。
*区分所有法19条

4 規約で別段の定めをすることができる。一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属するが、規約で別段の定めをすることを妨げない。したがって、一部共用部分について、規約で区分所有者全員の共有とすることとすることもできる。
*区分所有法11条2項


【解法のポイント】この問題文は、分かりにくいですね。少なくとも私には非常に分かりにくい。まず、問題文を素直に読むと、各肢の文章を、規約で別の内容にすることができるのかという意味に受け取れます。しかし、各肢の文章はもともと区分所有法の規定そのものではなく、すでに区分所有法の内容を変更しているものです。したがって、もともとの区分所有法の規定に対して、各肢の内容の規約を定めることができるのかというのが、普通の問題の作り方だと思います。結局は、区分所有法の規定→規約で各肢の内容に定めることができるのであれば、各肢の内容を、規約でさらに別の内容に変更することができるので、同じことになりそうな気がします。そこで、普通の問題の作り方に従って、後の意味で解説しています。