下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和2年 問28

【問 28】 管理組合の組合員の氏名等の情報提供及び提供された情報に基づき作成する組合員名簿の管理に関するマンション管理士の次の発言のうち、標準管理規約及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)によれば、適切なものはどれか。

1 数年前に区分所有者が亡くなって以降、遺産分割につき相続人間で争いが継続している場合には、区分所有権の帰属が確定するまでの間は、組合員の得喪の届出を求めることはできません。

2 組合員総数及び議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意による総会招集を行うことを理由として組合員の一人から組合員名簿の閲覧請求があった場合、改めて組合員全員の同意を得るまでの間、その閲覧を拒否することができます。

3 大規模災害が発生してマンション内の組合員や居住者の生命や財産が失われるおそれがあり、直ちに自治体や関係機関による救助救援が必要なときであっても、管理組合は、組合員の同意を得なければ、自治体等の要請に基づき組合員名簿を提供することはできません。

4 管理組合は、組合員から提供された情報等に基づいて作成した組合員名簿について、当初の目的には掲げていなかった目的のためであっても、改めて組合員の同意が得られれば利用することができます。

【解答及び解説】

【問 28】 正解 4

1 不適切。新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない。区分所有者が死亡している以上、当該組合員はその資格を喪失しており、また、遺産分割が終了するまでは、相続財産は、その共有に属するから(民法898条)、管理組合としては、組合員の資格の得喪について届出を求めることができる。
*標準管理規約31条

2 不適切。理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、「組合員名簿」及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。したがって、本肢の場合、改めて組合員全員の同意を得ることなく閲覧させなければならない。
*標準管理規約64条1項

3 不適切。個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならないが、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときは、第三者提供も許される。
*個人情報保護法27条1項2号

4 適切。個人情報取扱事業者は、「あらかじめ本人の同意を得ないで」、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。したがって、当初の利用目的には掲げていなかった目的のためであっても、改めて組合員の同意が得られれば利用することができる。
*個人情報保護法18条1項


【解法のポイント】なかなかつかみ所のない問題だと感じた人もいるかと思います。ただ、肢3と肢4は純然たる個人情報保護法の内容ですので、正解して欲しいところです。