下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和2年 問14

【動画解説】法律 辻説法

【問 14】 Aが所有する甲マンションの301号室をBに対して賃貸し、CがBの委託を受けてBのAに対する賃借人の債務についてAとの間で書面によって保証契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 AとCとの保証契約が令和元年5月1日に締結された場合、法人でないCが極度額を当該契約書面に記載せずに保証契約を締結したときは、その契約は有効である。

2 AとCとの保証契約が令和2年5月1日に締結された場合、法人であるCが極度額を当該契約書面に記載せずに保証契約を締結したときは、その契約は無効である。

3 AとCとの保証契約が令和2年5月1日に締結された場合、法人でないCが極度額を当該契約書面に記載せずに保証契約を締結したときは、その契約は無効である。

4 AとCとの保証契約が令和2年5月1日に有効に締結された場合、法人でないCがAに対してBの賃料支払状況に関する情報を求めたときは、Aは遅滞なくこれをCに提供しなければならない。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 2

1 正しい。一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人でないもの(個人根保証契約)は、書面等で極度額を定めなければ、その効力を生じない。しかし、この規定は令和2年4月1日以降に締結された保証契約に限るので、本肢の契約も有効である。なお、旧法における個人の根保証契約においても極度額の定めが必要とされているが、主たる債務は貸金等に限定されていたので、本肢の主たる債務では適用範囲外である。
*民法465条の2第2項

2 誤り。一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が「法人でないもの」(個人根保証契約)は、書面等で極度額を定めなければ、その効力を生じない。しかし、保証人が法人である場合は、この規定は適用されない。
*民法465条の2第2項

3 正しい。一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって保証人が法人でないもの(個人根保証契約)は、書面等で極度額を定めなければ、その効力を生じない。したがって、本肢保証契約は無効である。
*民法465条の2第2項

4 正しい。保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。
*民法458条の2


【解法のポイント】本問は、肢1が難しかったと思います。まず、保証契約が令和元年5月1日に締結されたという点に気付いたか、また、旧法も極度額の定めに関する規定があったので、それとの関係について理解していたのか、という点です。ただ、こういう難しい肢があったときは、自分で自信がある肢から正解を導いて下さい。肢2は基本的な肢だったはずです。