下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和2年 問10

【動画解説】法律 辻説法

【問 10】 一筆の敷地上に、甲棟、乙棟及び丙棟があり、いずれの棟も専有部分のある建物である。また、敷地は区分所有者全員で共有している。この場合において、甲棟を取り壊し、かつ、従前の甲棟の所在地に新たに建物を建築すること(この問いにおいて「甲棟の建替え」という。)についての、団地管理組合の集会における建替え承認決議に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、甲棟の建替えは、他の棟の建替えに特別の影響を及ぼさないものとする。

1 団地管理組合の集会において建替え承認決議を行う場合には、団地管理組合の規約で別段の定めがある場合にも、規約で定められる議決権割合ではなく、敷地の持分の割合によって決議の成否が判定される。

2 甲棟の建替えを実施するためには、団地管理組合の集会において議決権の4分の3以上の多数による建替え承認決議を得なければならない。

3 団地管理組合の集会において建替え承認決議を行う場合には、集会を招集した者は、集会の会日より少なくとも1月前までに、団地内建物所有者に対し建替えに関する説明会を開催しなければならない。

4 甲棟の建替え決議が適法に成立したときには、甲棟の建替え決議において甲棟の区分所有者Aが建替えに反対をしていたとしても、その後の団地管理組合の集会における甲棟についての建替え承認決議においては、Aはこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなされる。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 3

1 正しい。建替え承認決議を行う団地管理組合の集会における各団地建物所有者の議決権は、団地管理組合の規約に別段の定めがある場合であっても、当該特定建物の所在する土地の持分の割合によるものとする。
*区分所有法69条2項

2 正しい。一団地内にある数棟の建物の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の特定の建物(特定建物)の所在する土地が団地建物所有者の共有に属する場合においては、団地管理組合の集会において議決権の4分の3以上の多数による建替え承認決議を得たときは、当該特定建物の建替えをすることができる。
*区分所有法69条1項

3 誤り。建替え承認決議においては、団地内建物所有者に対し「建替え」に関する説明会を開催しなければならない旨の規定はない。
*区分所有法69条4項参照

4 正しい。特定建物の団地建物所有者は、建替え承認決議においては、いずれもこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなす。したがって、甲棟の建替え決議において甲棟の区分所有者Aが建替えに反対をしていたとしても、建替え承認決議においては、Aはこれに賛成する旨の議決権の行使をしたものとみなされる。
*区分所有法69条3項


【解法のポイント】団地において「建替え」関係の規定は、最初は非常に難しく感じると思いますが、一度しっかりまとめて、過去問を解いていれば、意外に正解しやすいので、しっかり取り組んで下さい。