下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和2年 問7

【動画解説】法律 辻説法

【問 7】 甲マンション101号室の所有者Aが死亡し、遺産分割協議によって同室は長男Cの単独所有とされた。同室についてはAが遺言でAと同居していた妻Bのために配偶者居住権を設定しており、Aが死亡した後にも、Bは、Cの承諾のもとに、配偶者居住権に基づいて同室の居住を継続している。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bは、会議の目的たる事項に利害関係を有していれば、甲マンションの集会に出席して意見を述べることができる。

2 甲マンションの集会で決議された規約のうち、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法に当たらない事項に関する定めについては、Bにはその効力は及ばない。

3 Cは、101号室に係る固定資産税を、納付期限が迫っていたため自ら納付したが、これについてはBに対して求償することができる。

4 Bが建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為を行っていた場合には、甲マンションの管理組合は、集会の決議によってBの配偶者居住権を消滅させることができる。

【解答及び解説】

【問 7】 正解 4

1 正しい。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。Bは、Cの承諾のもとに、配偶者居住権に基づいて居住を継続しているので、集会に出席して意見を述べることができる。
*区分所有法44条1項

2 正しい。Bは、Cの承諾のもとに、配偶者居住権に基づいて居住を継続しているので、占有者に該当するが、占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。使用方法以外の事項については占有者に効力は及ばない。
*区分所有法46条2項

3 正しい。固定資産税は、固定資産の所有者に課される。しかし、配偶者居住権において、配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担するので、固定資産税もこの通常の必要費に該当し、CはBに求償することができる。
*民法1034条1項

4 誤り。Bは、Cの承諾のもとに、配偶者居住権に基づいて居住を継続しているので、占有者に該当する。そして、占有者が共同の利益に反する行為をした場合、区分所有者の全員は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の集会の決議に基づき、「訴えをもって」、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。単に集会の決議のみで、Bの配偶者居住権を消滅させることができるのではなく、訴えを行う必要がある。
*区分所有法60条1項


【解法のポイント】本問は、配偶者居住権を扱っていますが、内容的には区分所有法の範囲で正解が導けるものです。慌てずに対応すれば、簡単な問題だったと思います。