下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和2年 問1

【動画解説】法律 辻説法

【問 1】 規約共用部分及び規約敷地に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 マンション内に、上層階専用、下層階専用の二基のエレベーターがあり、それぞれが一部共用部分である場合に、その大規模修繕については、区分所有者全員の規約で定め、清掃等の日常の管理や使用方法については、区分所有者全員の利害に関係しないものとしてそれぞれ上層階、下層階の区分所有者の規約で定めることができる。

2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の3以上で、かつ、議決権の4分の3以上の賛成を要する。

3 未利用の規約敷地の一部について、特定の区分所有者に対して特に有利な条件で、かつ、排他的に使用収益をする権利を規約で設定する場合には、その集会の決議に当たり、他の区分所有者全員の承諾を得なければならない。

4 建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときは、規約に別段の定めがない限り、専有部分との分離処分が禁止される。

【解答及び解説】

【問 1】 正解 2

1 正しい。一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができる。本肢のエレベーターは、「区分所有者全員の利害に関係しないもの」に該当するので、本肢のような規約を定めることもできる。なお、本肢は二基のエレベーターについて、大規模修繕と日常の管理等を別々に扱い、全員の規約で定めたり、一部区分所有者の規約で定めたりしているが、一部共用部分については、全員の規約で定めることも、一部区分所有者の規約で定めることも両方認めているので、本肢のような規約の定め方も認められる。
*区分所有法30条2項

2 誤り。一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについて、区分所有者全員の規約で定める場合、区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の「4分の1を超える者又はその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対」したときは、することができない。つまり、4分の3の賛成で成立するのではなく、4分の1の反対があれば成立を認めないという、一種の拒否権の形で規定されている。
*区分所有法31条2項

3 正しい。規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が「一部の区分所有者の権利に特別の影響」を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。そして、この「特別の影響」とは、「合理的な理由もないのに特定の区分所有者がその受忍すべき限度をこえる不利益を受けること」を意味するとされる。本肢では、特定の区分所有者に対して特に有利な条件で、かつ、排他的に使用収益をする権利を規約で設定しているので、当該区分所有者以外の他の区分所有者全員は「特別の影響」を受けているといえるので、規約を設定する集会の決議に当たり、他の区分所有者全員の承諾を得なければならない。
*区分所有法31条1項

4 正しい。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、規約で建物の敷地と定められたものとみなされる。そして、規約に別段の定めがない限り、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
*区分所有法22条1項


【解法のテクニック】本問は、第1問であり、いきなり「う~ん」と考えさせるような肢を含む問題となっています。マンション管理士では、よくあるパターンで、「強烈なご挨拶」です。しかし、正解肢の肢2は条文そのままの問題ですので、ここは確実な肢2を正解とし、正解が出れば、他の肢にあまり時間を使いすぎないのが無難な対応です。