下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和元年 問18

【問 18】 敷地権付き区分建物に関する登記等に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をする前に登記された抵当権設定の登記は、登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下同じ。)が当該敷地権となった土地についてされた抵当権設定の登記の目的等と同一であっても、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有しない。

2 敷地権付き区分建物について、敷地権の登記をした後に登記された所有権についての仮登記であって、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたものは、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。

3 敷地権付き区分建物について、当該建物の敷地権が生ずる前に登記原因が生じた質権又は抵当権に係る権利に関する登記は、当該建物のみを目的としてすることができる。

4 敷地権付き区分建物の敷地について、敷地権である旨の登記をした土地には、当該土地が敷地権の目的となった後に登記原因が生じた敷地権についての仮登記をすることができる。

【解答及び解説】

【問 18】 正解 3

1 誤り。敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記は、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。なお、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたものは、土地の敷地権についてされた登記としての効力を有しないが、これには、「担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるもの」は除かれているので、この場合には、土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。
*不動産登記法73条1項1号

2 誤り。敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記は、敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。しかし、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記された所有権についての仮登記であり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたものについては、土地の敷地権についてされた登記としての効力は認められない。
*不動産登記法73条1項2号

3 正しい。敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、当該建物のみを目的として登記することができる。
*不動産登記法73条3項

4 誤り。敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該建物のみの所有権についての仮登記であって当該建物の敷地権が生ずる「前」にその登記原因が生じたものは、仮登記することができるが、当該建物の敷地権が生ずる「後」にその登記原因が生じたものは、仮登記することはできない。
*不動産登記法73条3項


【解法のポイント】この不動産登記法73条の規定は、なかなか難しいですね。この問題も、問題文や解説が長くて大変です。この「敷地権付き区分建物に関する登記」については、要するに敷地権の登記がなされると、建物だけの登記、土地だけの登記はできずに、建物に登記をすれば、同時に土地についても登記としての効力が生じるのが原則です。これだけだと簡単なんですが、これには例外があって、これがややこしい。ただ、この例外の基本形は、敷地権の登記がなされる「前」に登記原因が生じていれば、例外となりますが、敷地権の登記「後」に登記原因が生じていれば原則通りになります。実は、この基本形だけで本問は正解を導けます。本来は、もっと難しい問題もあるんですが、出題者は「手加減」してくれたんだと思います。人の好意は、有難く受け取りましょう。