下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和元年 問15

【動画解説】法律 辻説法

【問 15】 Aは、Bとの間で、甲マンション401号室を代金1,500万円でBに売却する旨の売買契約(この問いにおいて「本件契約」という。)を締結したが、同室はCの所有するものであった。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 本件契約は、AがCから401号室の所有権を取得した時に、条件が成就して成立する。

2 Bは、本件契約の時に、401号室の所有権がAに属しないことを知っていた。この場合において、AがCから同室の所有権を取得してBに移転することができないときであっても、Bは、本件契約を解除することはできない。

3 Aは、本件契約の時に、401号室の所有権が自己に属しないことを知らなかった。この場合において、Aは、Cから同室の所有権を取得してBに移転することができないときには、Bに対して損害を賠償しても本件契約を解除することはできない。

4 本件契約の締結後にAが死亡し、CがAを単独で相続した場合には、Cは、Bに対し、本件契約上の売主としての履行義務を拒むことができない。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 3

1 誤り。本問は、他人物売買であり、他人物売買も有効であるから、AB間で売買契約を締結した時点で、契約は成立している。
*民法560条

2 誤り。他人物売買において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求はすることができないが、解除はすることができる。
*民法561条

3 正しい。他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負い、この義務を履行できないときは債務不履行となる。この場合、買主からは契約を解除することはできるが、たとえ売主が善意であり、買主に損害を賠償したとしても、売主から解除することはできない。
*民法561条参照

4 誤り。他人物売買の売主が死亡して、本来の権利者(C)が相続した場合、権利者はその権利の移転につき諾否の自由を保有しているのであり、それが相続による売主義務の承継という偶然の事由によって左右されるべき理由はなく、特別の事情のないかぎり、売買契約上の売主としての履行義務を拒否することができるものと解するのが、相当である(最判昭49.9.4)。