下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 令和元年 問13
【問 13】 甲マンションの102号室を所有するAが遺言することなく死亡し、Aの相続人であるBとCがAの遺産全てをBが相続する旨の遺産分割をした場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 AがDに対して、Aの死亡前に、102号室を譲渡したときは、Dは所有権移転登記なくしてBに対して102号室の所有権を主張できる。
2 AがEに対して、Aの死亡前に、102室を譲渡し、BC間の遺産分割後に、BがFに対して102号室を譲渡したときは、Eは所有権移転登記なくしてFに対して102号室の所有権を主張できない。
3 BC間の遺産分割協議前に、CがGに対してCの法定相続分に当たる102号室の持分を譲渡し、Gが所有権移転登記をしたときであっても、BはGに対して102号室全部の所有権を主張できる。
4 BC間の遺産分割協議後に、CがHに対してCの法定相続分に当たる102号室の持分を譲渡したときは、Bは遺産分割に基づく所有権移転登記なくしてHに対して102号室に係るCの法定相続分の権利の取得を対抗できない。
【解答及び解説】
【問 13】 正解 3
1 正しい。Aの相続人は、売主としての地位も相続することになるので、DとBは対抗関係にはなく、Dは所有権移転登記なくしてBに対して102号室の所有権を主張できる。
*民法896条
2 正しい。Aの相続人は、売主としての地位も相続することになる。したがって、AとBは同一の地位に立ち、AからEへの譲渡と、BからFへの譲渡は二重譲渡となり、Eは所有権移転登記なくしてFに対して102号室の所有権を主張できない。
*民法896条
3 誤り。遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるが、第三者の権利を害することはできない。したがって、Cからその持分を譲り受けたGは、所有権移転登記をしたときは、Bに対してCの持分については所有権を主張できる。以上より、BはGに対して102号室「全部」の所有権を主張することはできない。
*民法909条
4 正しい。遺産分割には遡及効があるが、遺産分割によってCの持分は、CからBに移転したことになるので、Cの持分については、CからBと、CからHに移転したことになり、BとHは対抗関係になる。したがって、Cの持分については、Bは遺産分割に基づく所有権移転登記なくしてHに対抗できない。
*民法909条参照
【解法のポイント】肢3と肢4は難しい問題です。両者の違いは、遺産分割協議「前」か、遺産分割協議「後」かの違いです。