下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 令和元年 問3

【動画解説】法律 辻説法

【問 3】 区分所有法第7条の先取特権に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 区分所有者が有する区分所有法第7条の先取特権の被担保債権は、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権に限られる。

2 管理者が、管理組合との間に報酬を受ける特約がある場合において、管理組合に対して有する報酬債権は、区分所有法第7条の先取特権の対象となる。

3 区分所有法第7条の先取特権は、債務者が専有部分を賃貸しているときは、民法第304条の物上代位により賃料に対して行使できる。

4 区分所有法第7条の先取特権の目的物は、債務者の区分所有権に限らず、債務者の全ての財産である。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 3

1 誤り。区分所有者が有する区分所有法第7条の先取特権の被担保債権は、「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権」だけではなく、「規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」も含まれる。
*区分所有法7条1項

2 誤り。区分所有者は、管理者がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、債務者の区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有するが、これは、管理者が、その職務を行うにつき必要な費用の前払請求又は償還請求(民法649条、650条)の対象となるようなものであり、管理組合に対して有する報酬債権のようなものは含まれない。
*区分所有法7条1項

3 正しい。先取特権は、その目的物の賃貸によって債務者が受けるべき賃料に対しても、行使することができるので(民法304条)、債務者が専有部分を賃貸しているときは、その賃料に対して行使できる。
*区分所有法7条1項

4 誤り。区分所有者は、共用部分等につき他の区分所有者に対して有する債権等について、債務者の「区分所有権及び建物に備え付けた動産」の上に先取特権を有する。債務者の全ての財産の上に先取特権を有するわけではない。
*区分所有法7条1項


【解法のポイント】この問題は、肢2・肢3などは難しい問題ですが、過去問で出題されています。確実にできないといけない問題といえます。