下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成30年 問32

【問 32】 複合用途型マンションの管理組合の理事長から、管理規約の変更に係る相談を受けたマンション管理士が行った次の回答のうち、「マンション標準管理規約(複合用途型)及びマンション標準管理規約(複合用途型)コメント」(最終改正平成29年8月29日国住マ第33号)によれば、適切でないものはどれか。

1 総会の議決権については、住戸部分、店舗部分それぞれの中で持分割合があまり異ならない場合は、住戸、店舗それぞれの中では同一の議決権により対応することが可能です。また、住戸又は店舗の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することも可能です。

2 当該規約を変更するに当たっては、住宅の区分所有者のみの共有に属する一部共用部分の管理に関する条項を変更する場合であっても、区分所有者全員で構成される総会の決議で行うことになります。

3 住宅、店舗各々から選出された管理組合の役員が、住宅部会、店舗部会の役員を兼ねるようにすることができます。

4 店舗共用部分の修繕は、店舗部会の決議があれば、総会の決議がなくても、店舗一部修繕積立金を取り崩してその費用を拠出することができます。

【解答及び解説】

【問 32】 正解 4

1 適切。総会の議決権については、住戸部分、店舗部分それぞれの中で持分割合があまり異ならない場合は、住戸、店舗それぞれの中では同一の議決権により対応することも可能である。また住戸又は店舗の数を基準とする議決権と専有面積を基準とする議決権を併用することにより対応することも可能である。
*標準管理規約複合用途型50条関係コメント②

2 適切。規約の制定、変更又は廃止については、総会の決議を経なければならないので、住宅の区分所有者のみの共有に属する一部共用部分の管理に関する条項を変更する場合であっても、区分所有者全員で構成される総会の決議で行う必要がある。
*標準管理規約複合用途型52条1号

3 適切。住宅、店舗おのおのから選出された管理組合の役員が、各部会の役員を兼ねるようにし、各部会の意見が理事会に反映されるような仕組みが、有効であると考えられる。
*標準管理規約複合用途型60条関係コメント②

4 不適切。一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕、不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕の実施のための店舗一部修繕積立金の取崩しは、総会の決議を経なければならない。
*標準管理規約複合用途型52条10号


【解法のポイント】複合用途型の標準管理規約は、一見難しそうですが、ポイントは、「一部の区分所有者の共有物である一部共用部分についても全体で一元的に管理するものとし、管理組合は全体のものを規定し、一部管理組合は特に規定していない」(全般関係コメント⑤)という点です。この「全体で一元的に管理」という点を押さえて下さい。