下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成30年 問5

【動画解説】法律 辻説法

【問 5】 未納の管理費等の回収や義務違反者に対する措置に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 未納の管理費等に係る債権は、区分所有法第7条に規定する先取特権の実行としての担保不動産競売を申し立てることにより、他の一般債権者に優先して弁済を受けることができる。

2 区分所有法第7条に規定する先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができるが、登記をした第三者に対しては、この限りでない。

3 管理者は、区分所有法第59条の規定による区分所有権及び敷地利用権の競売について、規約又は集会の決議により、訴えをもって請求することができる。

4 区分所有法第59条の規定による競売請求の判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6ヵ月以内に行わなければならない。

【解答及び解説】

【問 5】 正解 3

1 正しい。区分所有者は、共用部分等につき他の区分所有者に対して有する債権等について、先取特権を有する。この先取特権の実行方法として、動産、不動産の「競売の申立」を行うことができる。そして、この先取特権は、他の一般債権者に優先する。
*区分所有法7条

2 正しい。区分所有法第7条に規定する先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。この共益費用の先取特権は、一般の先取特権に該当するが、一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。
*民法336条

3 誤り。管理者又は集会において指定された区分所有者は、「集会の決議」により、他の区分所有者の全員のために、区分所有法第59条の規定による区分所有権及び敷地利用権の競売の訴訟を提起することができる。規約によって管理者が訴訟を提起することはできない。
*区分所有法59条2項

4 正しい。区分所有法第59条の規定による競売請求の判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6月を経過したときは、することができない。
*区分所有法59条3項


【解法のポイント】この問題は、ちょっと難しかったかもしれません。先取特権は、マンション管理士では結構よく出題されるので気を付けて下さい。正解肢の肢3も、盲点になりそうなところですので、注意が必要です。