下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成29年 問9
【問 9】 議決権及び共用部分の持分割合が等しいA、B、C及びDの区分所有者からなる甲マンションにおいて、地震によって建物価格の2分の1を超える部分が滅失したために、集会で滅失した共用部分の復旧が議案とされ、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた(決議では、A、B及びCは決議に賛成し、Dは決議に賛成しなかった)。この場合の区分所有者の買取請求権行使に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、その決議の日から2週間以内に買取指定者の指定がなされなかったものとする。
1 DがAに対して買取請求権を行使し、裁判所がAの請求によってAの代金支払についての期限の許与を認めた場合には、Aの代金支払義務とDの所有権移転登記及び引渡しの義務は、同時履行の関係に立つ。
2 DがBに対して買取請求をした場合におけるBからCに対する再買取請求は、復旧決議の日から2月以内にしなければならない。
3 DがCに対して買取請求をし、CがA及びBに対して再買取請求をしたときには、A、B及びCがDの有する建物及びその敷地に関する権利を3分の1ずつ取得する。
4 地震による甲マンションの一部滅失によって、Dの専有部分が失われている場合には、Dは、買取請求権を行使することはできない。
【解答及び解説】
【問 9】 正解 3
1 誤り。買取請求権が行使された場合、裁判所は、買取りの請求を受けた区分所有者の請求により、代金の支払につき相当の期限を許与することができる。この場合、代金の支払いについて期限を許与されているので、所有権移転登記及び引渡しの義務が先履行ということになる。
*区分所有法61条15項
2 誤り。決議賛成者以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求した場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その「請求の日」から2月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。復旧決議の日から2月以内に請求するわけではない。
*区分所有法61条7項
3 正しい。決議賛成者以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求した場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から2月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、「決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した共用部分の割合に応じて」当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。したがって、A、B及びCがDの有する建物及びその敷地に関する権利を3分の1ずつ取得することになる。
*区分所有法61条7項
4 誤り。決議賛成者以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその「敷地」に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。したがって、Dの専有部分が失われている場合でも、敷地の買取請求権を行使することができる。
*区分所有法61条7項
【解法のポイント】この問題は、肢1と肢4はちょっと考え込む問題だと思います。正解肢の肢3は条文通りですが、こういう問題で差が出るような気がします。