下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成29年 問6

【動画解説】法律 辻説法

【問 6】 甲マンション301号室の区分所有者Aが、専有部分をBに賃貸している場合の次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 規約を変更し専有部分を居住目的以外には使用禁止とすることについて集会で決議する場合、301号室を事務所として使用しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることはできない。

イ 共用部分に係る大規模修繕工事の負担金増額について集会で決議する場合、Bは利害関係を有するとして集会に出席して当該決議に関する意見を述べることはできない。

ウ 規約を変更し毎月の管理費を増額することについて集会で決議する場合、管理費相当分を負担しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができる。

エ 規約を変更しペットの飼育を禁止することについて集会で決議する場合、301号室でペットを飼育しているBは、利害関係を有するとして集会に出席して当該規約変更に関する意見を述べることができる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 6】 正解 2

ア 誤り。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。専有部分を事務所として使用している賃借人にとって「専有部分を居住目的以外には使用禁止とする」ことは、利害関係があるといえる。
*区分所有法44条1項

イ 正しい。占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の「使用方法」につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うが、「管理」に関する事項には拘束されない。「大規模修繕工事の負担金増額」は管理に関する事項になるので、占有者は、集会で意見を述べるための利害関係を有するとはいえない。
*区分所有法44条1項

ウ 誤り。占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の「使用方法」につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うが、「管理」に関する事項には拘束されない。管理費の増額は管理に関する事項になるので、占有者は、集会で意見を述べるための利害関係を有するとはいえない。仮に占有者が管理費相当分を負担しているとしても、それは賃貸人と賃借人の契約上の問題に過ぎない。
*区分所有法44条1項

エ 正しい。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができる。ペットを飼育している占有者にとってペットの飼育を禁止する規約変更は、集会で意見を述べるための利害関係を有するといえる。
*区分所有法44条1項


以上より、正しいのは、イ、エの二つであり、正解は肢2となる。


【解法のポイント】本問は、占有者が集会で意見を述べることができる利害関係についての事例問題ですが、それほど難しい事例でもなかったので、個数問題とはいえ、それほど難しくなかったのではないかと思います。