下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成29年 問2

【動画解説】法律 辻説法

【問 2】 甲マンション101号室の所有権がAからBに移転した場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、正しいものはどれか。

1 Aが管理費を滞納していた場合、AB間の合意があれば、BはAの滞納管理費を承継しないことができ、管理組合から請求があっても支払を拒否することができる。

2 Bは、仲介業者からAに管理費の滞納があると聞いていたので、滞納管理費の支払には応じるが、甲マンションの規約に定める遅延損害金については、責任はAにあるとして支払を拒否することができる。

3 Aがその所有時に甲マンションの規約で定めた義務に違反する行為を行い、規約に定める違約金としての弁護士費用の支払を怠っていた場合、Bはその弁護士費用を支払う義務がある。

4 Bが、101号室の抵当権の実行による競売において同室を買受け、AからBへの所有権の移転が行われた場合、Aが滞納していた管理費はBに承継されない。

【解答及び解説】

【問 2】 正解 3

1 誤り。管理費に関する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。区分所有権の譲渡の当事者の合意で特定承継人の責任を免除することはできない。
*区分所有法8条

2 誤り。区分所有者が共用部分等につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。この債権には、滞納管理費の請求権だけではなく、遅延損害金の請求権も含まれる。
*区分所有法8条

3 正しい。区分所有者が共用部分等につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。この債権には、規約に定める違約金としての弁護士費用の支払も含まれる。
*区分所有法8条

4 誤り。管理費に関する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。この場合の特定承継人には、抵当権の実行による競売において買受けた者も含まれる。
*区分所有法8条


【解法のポイント】この問題は、本試験でも頻出事項である特定承継人の責任に関するもので、基本的なものだったと思います。