下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成28年 問38

【問 38】 大規模修繕工事に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 大規模修繕工事では、建物及び設備の性能や機能を新築時と同等水準に維持、回復させる工事とともに、必要に応じて性能を向上させる工事も併せて実施される。

2 大規模修繕工事を責任施工方式で行う場合は、設計者と施工者との意思疎通が図りやすいため、修繕工事の厳正なチェックが期待できる。

3 大規模修繕工事の施工会社の選定に当たっては、見積金額だけではなく、修繕工事実績、工事保証能力、施工管理体制、施工計画等から総合的に判断する。

4 大規模修繕工事のコンサルタントには、マンションの建物の調査・診断や修繕設計等だけでなく、施工会社選定への助言及び協力、長期修繕計画の見直し、資金計画に関する助言等ができることが望まれる。

【解答及び解説】

【問 38】 正解 2

1 適切。大規模修繕工事には、建物及び設備の性能や機能を新築時と同等水準に維持、回復させる工事である「修繕」とともに、必要に応じて性能を向上させる工事である「改良」もある。

2 不適切。大規模修繕工事における責任施工方式は、設計者と施工者を一社に請け負わせるため、設計者と施工者との意思疎通が図りやすい半面、専門的な第三者による修繕工事の厳正なチェックがないので、施工会社の選定方法と管理組合の体制が課題となる。

3 適切。大規模修繕工事の施工会社を選定する要素は、提示された見積金額に加えて、施工計画、会社経歴、修繕工事実績、工事保証能力、経営状態等、多岐にわたる。これに、見積参加会社の熱意や取組み姿勢をも勘案して総合判断する。

4 適切。大規模修繕工事のコンサルタントとしては、設計事務所又は管理会社の建築士等が該当すると考えられるが、その能力には、建物等の劣化状況等を把握するための調査・診断、修繕設計の作成ができること、施工会社の選定に当たり、客観的な判断に基づき、適切な助言ができること、長期修繕計画の作成、資金計画、借入金等に関する助言ができること等が望まれる。


【解法のポイント】この問題の正解肢の肢2は基本事項です。責任施工方式と設計監理方式の長所・短所はまとめておいて下さい。その他の肢も、分かりやすかったのではないかと思います。