下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成28年 問29

【問 29】 修繕積立金の取扱いに関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、総会の普通決議で行うことができるものはいくつあるか。

ア 長期修繕計画を作成するための建物診断費用を修繕積立金の取崩しにより支出すること

イ 修繕積立金について、共用部分の共有持分にかかわらず、全戸一律に値上げ額を同一とすること

ウ 給水管の本管と専有部分に属する配管(枝管)の一斉取替費用の全額を修繕積立金の取崩しにより支出すること

エ 修繕積立金の一部を取崩し、現在の区分所有者の所有年数に応じて返還すること

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 29】 正解 1

ア 総会の普通決議で行うことができる。長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。そして、そのための修繕積立金の取り崩しは、総会の普通決議で行うことができる。
*標準管理規約48条10号

イ 総会の普通決議で行うことができない。管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとされている。したがって、共用部分の共有持分にかかわらず、全戸一律に値上げ額を同一とするには、規約の変更が必要となり、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する必要がある(47条3項1号)。
*標準管理規約25条2項

ウ 総会の普通決議で行うことができない。配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。したがって、総会の普通決議で、給水管の本管と専有部分に属する配管(枝管)の一斉取替費用の「全額」を修繕積立金の取崩しにより支出することはできない。
*標準管理規約21条関係コメント⑦

エ 総会の普通決議で行うことができない。組合員は、納付した修繕積立金を含む管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。総会の普通決議で、このような請求をすることはできない。
*標準管理規約60条6項


以上より、総会の普通決議で行うことができるものは、アのみであり、正解は肢1となる。


【解法のポイント】この問題は、個数問題ではありますが、標準管理規約をしっかり読み込んでおけば、比較的正解しやすかったのではないかと思います。