下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成28年 問28

【問 28】 災害等の緊急時における管理組合又は区分所有者の対応に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

1 災害等により総会の開催が困難である場合に、応急的な修繕工事の実施について理事会決議をしたときは、工事の実施に充てるため修繕積立金の取崩しについては理事会決議で行うことができるが、資金の借入れについては総会決議が必要である。

2 台風で住戸の窓ガラスが割れた場合には、専有部分への雨の吹き込みを防ぐため、当該専有部分の区分所有者は、理事長の承認を受けなくても、割れたものと同様の仕様の窓ガラスに張り替えることができる。

3 理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができ、そのために必要な支出を行うこともできる。

4 災害等により総会の開催が困難である場合には、理事会の決議で、給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急的な更新を実施することができる。

【解答及び解説】

【問 28】 正解 1

1 不適切。理事会は、災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等について決議することができるが、理事会が、この決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための「資金の借入れ」及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。
*標準管理規約54条2項

2 適切。区分所有者は、第1項ただし書の場合又はあらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けた場合を除き、敷地及び共用部分等の保存行為を行うことができない。ただし、専有部分の使用に支障が生じている場合に、当該専有部分を所有する区分所有者が行う保存行為の実施が、緊急を要するものであるときは、この限りでない。例えば、これには台風等で住戸の窓ガラスが割れた場合に、専有部分への雨の吹き込みを防ぐため、割れたものと同様の仕様の窓ガラスに張り替えるというようなケースが該当する。
*標準管理規約21条3項、21条関係コメント⑧

3 適切。理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。そして、理事長が、この規定に基づき、敷地及び共用部分等の保存行為を行う場合には、そのために必要な支出を行うことができる。
*標準管理規約21条6項、58条6項

4 適切。理事会は、災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等について決議することができるが、この「応急的な修繕工事」は、保存行為に限られるものではなく、例えば、給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急的な更新、エレベーター附属設備の更新などが「応急的な修繕工事」に該当する。
*標準管理規約54条関係コメント①ウ


【解法のポイント】またまた改正からの出題です。今年は、本当に改正からの出題が多かったです。