下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成28年 問26

【問 26】 マンションの区分所有者が、自己の所有する専有部分の修繕を行う場合に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、適切なものはどれか。

1 理事長の承認を受けて専有部分の設備交換にあわせて専有部分に属する配管(枝管)の取替え工事を行う場合において、共用部分内に係る工事については、管理組合が当該工事を実施するよう理事長に要請しなければならない。

2 共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれがない専有部分に係る修繕工事であれば、工事の実施に際し管理組合や理事長に対し特段の手続をとる必要はない。

3 専有部分の修繕工事の申請に対して、理事長が、理事会の決議に基づき承認又は不承認を決定する場合、理事の過半数の承諾があれば、書面又は電磁的方法により理事会の決議を行うことができる。

4 理事長の承認を受けて専有部分の修繕工事が実施されたが、その後に工事による影響が共用部分に生じた場合には、当該工事を発注した区分所有者は、当該影響を排除するための措置を講ずべき責任を負う必要はない。

【解答及び解説】

【問 26】 正解 3

1 不適切。区分所有者は、その専有部分について、建物に定着する物件の取替えであって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長の承認を受けなければならない(標準管理規約17条1項)。そして、この規定は、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け、取替え工事に当たって、共用部分内に係る工事についても、理事長の承認を得れば、「区分所有者が行う」ことができることも想定している。したがって、共用部分内に係る工事について、管理組合が当該工事を実施するよう理事長に「要請しなければならない」わけではない。
*標準管理規約17条関係コメント③

2 不適切。区分所有者は、理事長の承認を要しない専有部分の修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を「届け出」なければならない。
*標準管理規約17条7項

3 適切。専有部分の修繕等の申請については、理事会の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならないが、理事会の会議は、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
*標準管理規約53条2項

4 不適切。理事長の承認を受けた専有部分の修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。これは、修繕等の工事の結果、共用部分又は他の専有部分に生じた事後的な影響について、当該工事を発注した区分所有者の責任や負担を免責するものではないことを確認的に定める趣旨である。
*標準管理規約17条6項


【解法のポイント】正解肢の肢3を含め、法改正部分を中心に出題されています。改正点はよく出題されますので、気を付けて下さい。