下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成28年 問17

【動画解説】法律 辻説法

【問 17】 甲マンションの301号室を所有するAが死亡し、Aの妻B及びAの子Cが相続人である場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bが、自己のためにAの相続の開始があったことを知った時から3ヵ月(以下「熟慮期間」という。)以内に、相続の放棄をしても、熟慮期間内であれば相続の放棄を撤回することができる。

2 Cが、熟慮期間内に相続の承認又は放棄ができないときは、熟慮期間内に家庭裁判所に期間の伸長の届出をすれば、その期間は伸長される。

3 Bが、自らの熟慮期間内に甲マンションの301号室を、Dに対して、賃貸期間を2年とする定期建物賃貸借契約により賃貸したときには、熟慮期間内であっても相続の放棄をすることができない。

4 Cは相続人として、その固有財産におけるのと同一の注意をもって甲マンションの301号室を管理する義務を負うが、相続の承認をしたときは、この限りでない。

【解答及び解説】

【問 17】 正解 4

1 誤り。相続の承認及び放棄は、熟慮期間内でも、原則として撤回することができない。
*民法919条1項

2 誤り。熟慮期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することが「できる」。したがって、Cは家庭裁判所に期間の伸長の届出をすることはできるが、届出をしたからといって、必ずしも伸長されるとは限らない。
*民法915条1項

3 誤り。相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされる。ただし、保存行為や短期賃貸借は、単純承認とはみなされない。建物賃貸借は3年以下の場合は短期賃貸借に該当する。
*民法921条1号

4 正しい。相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
*民法918条1項


【解法のポイント】正解肢の肢4は基本的な知識ではなかったかと思います。善管注意義務と固有財産におけるのと同一の注意義務は、民法のいくつかの場面で問題になるので、一度まとめておいた方がいいでしょう。