下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
マンション管理士 過去問解説 平成28年 問12
【問 12】 A、B及びCは、等しい持分の割合で、甲マンション201号室の区分所有権を共有している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 AとBは、A、B及びCの間の協議に基づかずに201号室を単独で占有しているCに対し、AとBの持分の価格が201号室の価格の過半数を超えるからといって、当然に同室の明渡しを請求することはできない。
2 Aが201号室の持分権を放棄した場合には、Aの持分権はBとCに帰属し、同室はBとCの共有となる。
3 Dが不法に201号室を占有している場合には、Bは、単独でDに対して同室の明渡しを請求することができる。
4 A、B及びCが201号室をEに賃貸している場合において、Eとの賃貸借契約を解除するためには、A、B及びC全員が同意した上で、共同で解除の意思表示をする必要がある。
【解答及び解説】
【問 12】 正解 4
1 正しい。Cも持分を有している以上、共有物の「全部」について、その「持分に応じた」使用をすることができる。したがって、Cに対して当然に同室の「明渡し」を請求することはできない。
*民法249条
2 正しい。共有者の一人が、その持分を放棄したとき、その持分は、他の共有者に帰属する。したがって、Aが持分権を放棄すれば、同室はBとCの共有となる。
*民法255条
3 正しい。不法占拠者に対する明渡請求は、共有物の保存行為として、各共有者が単独ですることができる。
*民法252条5項
4 誤り。共有物の賃貸借契約の解除は、共用部分の管理に関する事項とされる(判例)。そして、共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
*民法252条
【解法のポイント】肢1は各種の資格試験でよく出題される問題ですが、明渡し請求をされれば、完全に追い出されるので、Cは共有物を使えなくなります。そこまではできない、ということです。