下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成28年 問11

【動画解説】法律 辻説法

【問 11】 一団地内に専有部分のあるA棟及びB棟の2棟の建物がある。区分所有法第70条に基づき、この団地内の建物の一括建替え決議を行おうとする場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。ただし、A棟及びB棟が所在する土地は、団地建物所有者の共有に属しており、その共有者全員で構成する団地管理組合(区分所有法第65条の団地建物所有者の団体をいう。)において、団地管理組合の規約が定められているものとする。

1 一括建替え決議を行う場合の議決権割合は、団地管理組合の規約に議決権割合に関する別段の定めがある場合にはその定めによる。

2 A棟の区分所有者Cが一括建替え決議に賛成しなかったときには、一括建替え決議に賛成したB棟の区分所有者Dは、Cに対して、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

3 団地建物所有者の集会において、団地内建物の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数の賛成を得るとともに、A棟及びB棟ごとについて、区分所有者の3分の2以上の者であって議決権の合計の3分の2以上の議決権を有するものが賛成することが必要である。

4 一括建替え決議においては、団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額に加え、その費用の分担に関する事項を定める必要がある。

【解答及び解説】

【問 11】 正解 1

1 誤り。一括建替え決議を行う集会における各団地建物所有者の議決権は、団地管理組合の規約に議決権割合に関する別段の定めがある場合であっても、当該特定建物の所在する土地の持分の割合によるものとされている。
*区分所有法70条2項

2 正しい。一括建替え決議における売渡し請求は、通常の建替え決議における売渡し請求の規定が準用されており、建替え決議に賛成した各区分所有者等は、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。したがって、一括建替え決議に賛成した棟の区分所有者かどうかにかかわらず、建替え決議に賛成した各区分所有者等から、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者に対し売渡し請求をすることができる。
*区分所有法70条

3 正しい。団地建物所有者の集会において、当該団地内建物の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、一括建替え決議をすることができる。ただし、当該集会において、当該各団地内建物ごとに、それぞれその区分所有者の3分の2以上の者であって議決権の合計の3分の2以上の議決権を有するものがその一括建替え決議に賛成した場合でなければならない。
*区分所有法70条1項

4 正しい。団地内建物の一括建替え決議においては、「団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額」、「その費用の分担に関する事項」等について定めなければならない。
*区分所有法70条3項


【解法のポイント】区分所有法の団地においては、建替え承認決議や一括建替え決議の要件等は、一つの典型的な出題範囲ですので、あらかじめ準備しておく必要があります。