下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成28年 問7

【動画解説】法律 辻説法

【問 7】 区分所有法第32条の規定に基づく公正証書による規約の設定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 等価交換方式によって、分譲業者が、地主の土地上にマンションを建築し、建築したマンションの一部を地主に譲渡した場合には、分譲業者が一般の者に販売を行う前であれば、分譲業者と地主が共同で公正証書による規約を設定することができる。

2 公正証書による規約を設定した者は、専有部分の全部を所有している間は、公正証書による規約の設定と同様の手続により、その規約を廃止することができる。

3 建物が所在する土地以外の土地が、建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用されるものでなくても、公正証書による規約の設定をするのであれば、建物の敷地とすることができる。

4 建物が完成する前に公正証書により規約が設定された場合には、建物の完成前で所有権が取得されていなくても、規約の効力が生じるのは公正証書を作成した時である。

【解答及び解説】

【問 7】 正解 2

1 誤り。最初に建物の「専有部分の全部」を所有する者は、公正証書により、一定の事項について規約を設定することができる。したがって、分譲業者と地主が共同で公正証書による規約を設定することはできない。
*区分所有法32条

2 正しい。最初に建物の専有部分の全部を所有する者であれば、その間は公正証書による規約の設定と同様の手続により、その規約を廃止することもできる。
*区分所有法32条

3 誤り。公正証書による規約で、規約敷地(区分所有法5条1項)について定めることができるが、規約敷地は、「建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地」について定めることができるものである。
*区分所有法32条

4 誤り。公正証書による規約の設定は、「最初に建物の専有部分の全部を所有する者」という以上、建物が完成して所有権の対象となりうる状態になってはじめて規約の設定ができるといえる。しかし、建物が完成する前に公正証書により規約が設定された場合でも、その規約の効力を否定する必要はないが、その規約の効力が発生するのは、建物が完成し、区分所有権が成立したときに効力が生じる。
*区分所有法32条


【解法のポイント】なかなかヒネリのある問題で、知識として知っていた方は少ないと思いますが、もともとの趣旨を考えると正解は導けたのではないかと思います。