下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成28年 問3

【動画解説】法律 辻説法

【問 3】 区分所有法第7条に規定する先取特権に関する次の記述のうち、区分所有法及び民法(明治29年法律第89号)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 管理者に対して支払うべき報酬が定められ、管理者が、管理組合に対して報酬請求権を有する場合には、管理者の報酬請求権は、先取特権によって担保される。

2 区分所有法第7条の先取特権は、共益費用の先取特権とみなされ、他の一般の先取特権と競合する場合にはそれらに劣後する。

3 店舗を経営する区分所有者が、管理組合の承諾を得て、共用部分である廊下に自らの所有する動産であるショーケースを備え付けていた場合、このショーケースに対しては、先取特権の効力は及ばない。

4 区分所有者が、規約又は集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について先取特権を行使するに際しては、当該他の区分所有者が第三者から借り受けていた家具についても即時取得の規定の準用がある。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 4

1 誤り。管理者が「その職務又は業務を行うにつき」区分所有者に対して有する債権については、先取特権を有する。したがって、管理者が管理組合に対して有する費用の前払請求権(民法649条)や費用等の償還請求権(民法650条)については先取特権を有するが、報酬請求権については、これに該当せず、先取特権によっては担保されない。
*区分所有法7条1項

2 誤り。区分所有法第7条の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなされる。そして、共益費用の先取特権と他の一般の先取特権が競合する場合は、共益費用の先取特権が優先する。
*民法329条1項

3 誤り。区分所有者は、「建物」に備え付けた動産の上に先取特権を有するが、「建物」に備え付けた動産であれば、専有部分だけでなく、共用部分に備え付けた動産も含まれる。
*区分所有法7条1項

4 正しい。区分所有法第7条の先取特権については、民法第319条の即時取得の規定が準用されており、債務者が第三者から借り受けていた家具についても先取特権を行使できる。
*区分所有法7条3項


【解法のポイント】これは、なかなか難しい問題でした。マンション管理士らしい問題といえるでしょうか。マンション管理士は、先取特権についてはよく出題されているので、しっかり勉強しておく必要があります。