下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成27年 問41

【問 41】 昭和56年5月以前の耐震基準(旧耐震基準)に基づいて建てられたマンションの耐震性に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 1階に大区画の店舗等があるマンションは、一般に剛性率が大きいため、層崩壊等の大被害が生じるおそれは少ない。

2 中層の鉄筋コンクリート造の壁式構造のマンションは、壁量が多いため、一般に耐震性は高く、過去の大地震でも大きな被害を受けたものは少ない。

3 上層部と下層部で構造形式が異なるマンション(例えば下層階が鉄骨鉄筋コンクリート造・上層部が鉄筋コンクリート造)では、構造形式が切り替わる付近の階で、層崩壊等の被害が集中するおそれがある。

4 耐力壁がバランス良く配置されていないマンションは、重心と剛心の位置が異なるため、剛心を中心にねじれが生じる。

【解答及び解説】

【問 41】 正解 1

1 不適切。1階に大区画の店舗等があれば、1階の剛性率は小さくなり、地震荷重を受けた場合にはその階に変形が集中し、層崩壊等の大被害が生じるおそれが大きくなる。

2 適切。壁式構造のマンションは、壁で建物を支えるため、壁量が多くなるので、中層の鉄筋コンクリート造の壁式構造のマンションは、一般に耐震性は高く、過去の大地震でも大きな被害を受けたものは少ない。

3 適切。上層部と下層部とで構造形式が異なる建物(例えば下層階が鉄骨鉄筋コンクリート造・上層階が鉄筋コンクリート造)では、構造上のバランスが悪い建物とされ、構造形式が切り替わる付近の階で、層崩壊等の被害が集中するおそれがある。
*マンション耐震化マニュアル(国土交通省)

4 適切。耐力壁がバランス良く配置されていない建物は、重心(建物重量の中心)と剛心(柱、梁、耐力壁等の耐震要素の中心)の位置が異なるため、剛心を中心にねじれ(回転変位)が生じる。ねじれによる変位が大きくなる剛心から遠い部分が、局所的に崩壊したり、地震力の集中する剛心近くが、崩壊してしまうことがある。
*マンション耐震化マニュアル(国土交通省)


【解法のポイント】本問は、具体的に一つ一つの知識を勉強していた人は、ほとんどいないと思いますが、肢1は「不適切」だと、判断できたのではないでしょうか。