下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成27年 問31

【問 31】 甲マンション(会計年度は4月~翌年3月)の理事会では、5月末に開催予定の通常総会までの新年度の経費の支出について協議している。この場合に関するA~Dの各理事の次の発言のうち、標準管理規約によれば、適切でないものはどれか。

1 A理事「理事長は、4月から新年度の収支予算案について通常総会で承認を得るまでの間、理事会の承認を得て、経常的であり、かつ、通常総会の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる経費の支出を行うことができます。」

2 B理事「理事会の承認を得て通常総会の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる経常的な経費は、前年度の同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要です。」

3 C理事「総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事で年度を跨ることがやむを得ない工事に係る経費については、工事全体について総会の承認を得ているので、改めて新年度の経費の支出について理事会の承認は必要ありません。」

4 D理事「新年度の収支予算案について通常総会で承認を得るまでに支出した経費の支出については、当該通常総会において、その内容を報告しなければなりませんが、この場合においては、当該支出は、その他の収支予算案による支出とみなされます。」

【解答及び解説】

【問 31】 正解 3

1 適切。理事長は、会計年度の開始後、収支予算案の承認を得るまでの間に、通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものの支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。
*標準管理規約58条3項1号

2 適切。理事会の承認を得て通常総会の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められる経常的な経費とは、経常的であり、かつ、収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることから、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要である。
*標準管理規約58条関係コメント②

3 不適切。理事長は、会計年度の開始後、収支予算案の承認を得るまでの間に、総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものの支出が必要となった場合には、「理事会の承認を得て」その支出を行うことができる。
*標準管理規約58条3項2号

4 適切。理事長が、会計年度の開始後、通常総会での承認を得るまでの間に支出した経費の支出は、通常総会による収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案による支出とみなされる。
*標準管理規約58条4項


【解法のポイント】この問題は、標準管理規約58条に焦点を絞った問題です。標準管理規約は、このように特定の部分に焦点を絞った問題でも、条文を横断するような問題でも対応できるように、しっかり条文を読み込んでおく必要があります。