下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成27年 問17

【問 17】 分譲業者Aが、Bに新築建物である甲マンションの101号室を売却し、建物に契約不適合が発見された場合の契約不適合責任に関する次の記述のうち、民法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。ただし、売買契約に契約不適合責任についての特約はなかったものとする。

1 AからBに店舗である101号室が引き渡された1年後に、内壁の塗装に契約不適合が発見された場合、Bは、Aに対し、損害賠償請求をすることはできない。

2 AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見された場合、Bは、Aに対し、柱の瑕疵を修補するよう請求することができる。

3 AからBに住宅である101号室が引き渡された5年後に、構造耐力上主要な部分としての柱に隠れた瑕疵が発見され、Bが、Aに対し、柱の瑕疵の修補請求を行い、Aがこれを完了したときは、修補完了後もBに損害が残存していたとしても、Bは、Aに対する損害賠償請求をすることはできない。

4 AからBに住宅である101号室が引き渡された1年後に、建物の浴槽に契約不適合が発見された場合、BがAに対し損害賠償請求を行うには、契約不適合の発見から1年以内に裁判上の権利行使をしなければならない。

【解答及び解説】

【問 17】 正解 2

1 誤り。売買の目的物に契約不適合があったときは、民法の規定に基づいて、買主がその不適合を「知った時」から1年以内にその旨を売主に通知すれば、買主は売主に対して損害賠償を請求することができる。なお、住宅の品質確保の促進等に関する法律は、「住宅」について適用されるので、本肢では適用されない。
*民法564条、566条

2 正しい。本肢では、住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があるので、住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づいて瑕疵担保責任を追及することができる。したがって、Bは、Aに対し、柱の瑕疵を修補するよう請求することができる。
*品確法95条1項

3 誤り。本肢では、住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があるので、住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づいて瑕疵担保責任を追及することができる。そして、瑕疵修補がなされたとしても、損害賠償の請求を妨げられないので、修補完了後も損害が残存していれば、買主は売主に対して損害賠償請求をすることができる。
*品確法95条1項

4 誤り。買主が契約不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に「通知」すれば、買主は、その不適合を理由として、損害賠償の請求をすることができる。契約不適合の発見から1年以内に裁判上の権利行使までしなければならないわけではない。
*民法566条


【解法のポイント】本問の肢2と肢3は、住宅の品質確保の促進等に関する法律が準用する請負人の担保責任を問うているところにヒネリがあって、良い問題だったと思います。