下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成27年 問15

【動画解説】法律 辻説法

【問 15】 Aがその所有する甲マンションの105号室に関し、Bとの間で使用貸借契約を締結しこれを引き渡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 105号室に瑕疵があった場合、貸主Aはその瑕疵を知り、かつ、これを借主Bに告げなかったときには担保責任を負う。

2 Bが105号室に有益費を支出し、使用貸借契約終了時に同室の価格の増加が現存する場合には、Bは、支出した金額又はこれを支出したことによる同室の増加額のいずれかを選択してAに請求することができる。

3 AとBが貸借の期間を定めた場合でも、その期間内にAが死亡したときは、Aの死亡時にAとBとの使用貸借契約は効力を失う。

4 105号室がBの居住を目的として使用貸借されている間は、Aが105号室をCに売却しても、Bは、Cに対し、引き続き借主であることを主張することができる。

【解答及び解説】

【問 15】 正解 なし

1 誤り。貸主は、使用貸借の目的である物を、使用貸借の目的として特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定する。したがって、貸主がその瑕疵を知りながら借主に告げなかったときでも、原則として担保責任を負う必要はない。
*民法596条

2 誤り。使用貸借の借主が目的物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、「貸主」の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。したがって、選択をするのはAであり、Bが選択するのではない。
*民法595条2項

3 誤り。使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失うが、貸主の死亡によっては効力を失わない。
*民法597条3項

4 誤り。使用貸借において、貸主が使用貸借の目的物を譲渡した場合、不動産登記法上、使用貸借を登記することは認められておらず、また使用貸借には借地借家法の適用もないことから、借主が引渡しを受けていても新所有者に対抗することはできない。


【解法のポイント】問12の贈与の問題に続いて、本問は使用貸借という無償契約からの出題です。事例としてはあまり多くない問題について、2問出題されるとは意外ですが、贈与や使用貸借は過去問にも出題されており、若干出題頻度が落ちる問題でも、しっかり学習しておく必要があると痛感します。

【法改正による変更】肢1は、当初は「正しい」肢として出題されており、本問の正解は肢1でしたが、法改正のため肢1は「誤り」ということになり、正解は「なし」としています。