下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成27年 問14

【動画解説】法律 辻説法

【問 14】 夫A及び妻Bが、甲マンションの501号室の区分所有権を各1/2の持分割合で共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、管理費の負担に関する合意を除き、共有者間において別段の特約はないものとする。

1 AB間において501号室の管理費の負担者をAと合意した場合、その合意が書面で行われ、その旨が甲マンションの管理者に通知されたときは、管理者はBに対して管理費を請求することができない。

2 501号室の上階である601号室の所有者Cが、不注意により浴室から溢水させ、501号室に損害を与えた場合、A及びBがCに損害賠償を求めるときは、それぞれの共有持分の割合に応じて請求しなければならず、自己の持分割合を超えて請求することはできない。

3 Aが、501号室の共有持分権をAB間の成人の子であるDに譲渡する場合は、Bの同意を得なければならない。

4 Aが、自らの趣味で行っている日曜大工の作業中に、誤ってベランダから工具を落下させ、通行人Eが怪我をした場合、Bは自らに過失がなくても、区分所有権の共有者として、Aと連帯してEに対して損害賠償責任を負わなければならない。

【解答及び解説】

【問 14】 正解 2

1 誤り。管理費の負担義務を負うのは、区分所有者であり、AB間において管理費の負担者をAと合意していても、それはAB間の内部的な合意にすぎず、管理者はBに対して管理費を請求することができる。これは、AB間の合意が書面で行われ、その旨が管理者に通知されていたとしても同様である。

2 正しい。共有物に対する不法行為による損害賠償請求権については、共有者は自己の持分についてのみしか請求することはできず、自己の持分割合を超えて請求することはできない(判例)。

3 誤り。共有持分権を他人に譲渡するには、他の共有者の同意は不要である。

4 誤り。土地の工作物の「設置又は保存」に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の所有者は無過失責任を負うが、本肢では、Aが単にベランダから工具を落下させたものにすぎず、工作物の設置又は保存の瑕疵とはいえず、Aのみが不法行為責任(民法709条)を負う。
*民法717条1項


【解法のポイント】本問は、共有の場合に生ずるさまざまな問題を総合的に問うていますが、内容的には平易なものではなかったかと思います。